【募集企画】東方幻想記録物語 28巻 (ページ14)

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立ち続ける理由 Ⅰ　照輝ページ14

遥か彼方までも届く啖呵を切り、照輝は再び舞依に肉薄する。畳み掛けられるように振るわれるピコピコハンマーの打撃は、舞依に当たりはする‥‥が。

「あらあら、口ほどにもないわね。私を倒すのならもっと楽しませるような攻撃でないと」

攻撃が通っている感覚はまるでない。

―――これは難敵なんだぞ。

照輝は眉間に皺を寄せる。先程から、舞依は反撃どころか避ける素振りすら見せない。つまり、勝ち負け以前に敵と見なされていない(・・・・・・・・・・)のだ。これでは話にならない。
弓なりに曲がったままの舞依の唇。それは、彼女にとって照輝が如何に取るに足らない存在かを如実に語っている。
全世界の女神を名乗る舞依の手管は無限にして、未だ一つと明かされていない。対して照輝の手札はピコピコハンマーと己の身一つであり、隠し玉などありはしない。一体どうやって勝てと言うのだ。
らしくもない悲観に支配されそうな照輝の胸中を知ってか知らずか、舞依はトドメとばかりに絶望的な事実を突きつける。

「折角だから、二つ教えてあげる。良いニュースと悪いニュース、どっちが先がいい？」
「‥‥じゃあ、良いニュースから聞くんだぞ」
「あら、上げて落とされるけどいいのかしら。‥‥実は、私には一つ弱点があるの。それが良いニュース」
「‥‥悪いニュースは？」
「その弱点が、私のラストワードであることよ。私は全世界の女神であるが故に、ありとあらゆる並行世界に伝承と信仰を持つ。だから私は普通の神殺しの方法で一回殺された程度では死なない。逆に言えば、それら全ての世界を失えば私はやられてしまうわ。そしてそれが起こりうるのが、今まで創ってきた世界を弾幕にして放つ私のラストワード―――『創られる世界、壊れ行く世界』というわけ」
「らすと、わーど‥‥？」
「有り体に言えば、手加減無しの最終奥義よ。悪いニュースだと言ったでしょう？―――私のラストワードどころか回避動作すら引き出せないあなたには、逆立ちしたって弱点をつけない」

着地した照輝の正面にわざわざ足を着け、目線を合わせながら女神は微笑む。即ち「さあ、どうやって私を倒してくれるのかしら」と。