番外編：ポッキーの日 ページ7
「お兄ちゃん」
「………」
「ねぇお兄ちゃん」
「………」
「おいこら無視すんなこっち向け」
「何か嫌な予感がするからやだ」
今日は11月11日。この日付を聞いてまず思いつくものはおそらくポッキーの日だろう。みんなが大好きポッキーだよポッキー。
明らかに私から距離を取って漫画から目を離さないお兄ちゃん。今の私の手にはポッキーの箱が握られていた。
彼はいち早くそれに気付き必死にこちらを見ないようにしているのだろう。だが無駄な足掻きである。私から攻めればいいだけの話なのだ。
「ポッキーゲームしようよお兄ちゃん」
「一人でやっとけ」
「どうやってだよ」
普通に食えってか。何の面白味もない。
そろりとお兄ちゃんに近づき背後から思い切り抱きしめる。本人は大して取り乱さずに本のページをめくった。背中にぐりぐり頭を押し付けても反応は何もない。
ちくせう。これだけやっても構ってくれないのかこの人は。Aちゃん寂しいぞ。
「お兄ちゃーん」
「………」
「ねーねー」
「………」
「………」
「あー！ったく！やればいいんだろやりゃ！」
「よしきた」
背中に押し付けていた頭を放して箱から一袋を出し、少々乱暴に破いて一本のポッキーを取り出す。
お兄ちゃんが面倒そうに後頭部を掻いて欠伸する。そんな彼を見て見ぬふりをしてチョコがかかっていない方を口に含み、んっ、と前に差し出した。
「んー！んーんっ。(さあ！どうぞ)」
「はいはい」
仕方ねーな、と言わんばかりに苦笑しておもむろにポッキーを食べる。
少しずつ、順調に菓子を食していく。途中で折れないよう気を配るのも忘れない。
サクサクサク。
サクサクサクサクサ、ピタリ。
「………」
「………」
元々ポッキーの長さはそれほど長いものではない。当然終わりもすぐ来る。残りあと1cmを切った直後、私達の動きはほぼ同時に止まった。
暫くの沈黙が流れる。今の距離じゃ少しでも前へ進めば完璧に唇が重なるだろう。
(お兄ちゃん、どうするのこれ)
(お前が離せばいいだろ)
(やだよ、それじゃあ私が負けちゃうじゃん。お兄ちゃんが離して)
(それ俺に負けろって言ってるようなもんだよな？ 別にいいけど)
呆気なくポッキーから口を離す。落としかけたそれを慌てて手で抑えて食べた。
「お兄ちゃんならキスしてもいいんけど」
「それジェノスの前で言うなよ」
「なんで？」
「色々と誤解されるから」
「お兄ちゃんならい、」
「いい加減にしろ」
怒られた。
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詩音 - お久しぶりです、ぷーぷーさん！夢主ちゃんがかなり危ない感じなのではよサイタマお兄ちゃん召喚ですよ！！ (2017年9月25日 20時) (
レス) id: dbaa959796 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - ぷーぷーさん» コメント返信ありがとうございます！ ありがたく使わせていただきたいと思います！ これからも応援しています！ 無理なさらない程度に頑張ってくださいね！ (2017年9月8日 14時) (レス) id: bc202da462 (このIDを非表示/違反報告)
ぷーぷー - レイさん» どうぞ、私のオリキャラで良ければいくらでも。応援ありがとうございます。大変お待たせ致しました。これからもよろしくお願いします。 (2017年9月8日 3時) (レス) id: 656daaefee (このIDを非表示/違反報告)
ぷーぷー - Aさん» ありがとうございます。こんな作品でも貴方様の心を動かす事が出来たのなら、これほど嬉しいことはありません。大変お待たせ致しました。どうかこれからもよろしくお願いします。 (2017年9月8日 3時) (レス) id: 656daaefee (このIDを非表示/違反報告)
ぷーぷー - 白錬(新)さん» ありがとうございます。大変お待たせ致しました。どうかこれからもよろしくお願いします。 (2017年9月8日 3時) (レス) id: 656daaefee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぷーぷー | 作成日時：2015年11月2日 19時
