カタツバキの花を君にー3ー *K.I* (ページ5)

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｢…っだから、学校の人だってば｣

悲しそうな瞳で見つめられる
なんだか、悪いことをしている気がしてきた。

｢うそ、A嘘つく時そーやって前髪治す癖がある。｣

｢…っ｣

無意識で前髪を触っていた手を降ろす。

綺麗な顔が私をじっと見つめていた。

｢俺にはAだけなんだ…お願いだから、いなくならないでっ｣

｢涼介…｣

きゅっと私の手を握りしめる涼介。
おじさんもおばさんも仕事で忙しく
女きょうだいしかいない涼介。

昔から、悩んでも誰にも相談することなく
自分で抱え込んできたらしい。

私に異様に懐く涼介を見てお姉さんが教えてくれた。

涼介のことをお願いって…。

｢私は居なくならないよ…｣

私の言葉を聞いて頬をゆるめる涼介に反して心がズキズキと傷んだ。