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水族館につくと子供連れの夫婦とカップルが多く見られた。
今日はイベントがあるようだ。
「伊野尾くん！」
水族館の入口の柱に携帯を見ながらもたれかかっている伊野尾くんがいた。
白い半袖シャツに青い半袖のパーカーを羽織っている。
ほっそい。隣に並ぶのが申し訳なくなる。
「Aちゃん〜！」
いつもと変わらないにへっとした笑顔で手を振ってくれる伊野尾くん。
「いこいこ！たのしみ〜」
「ほんとに私なんかでよかったの？」
「Aちゃんがよかったの！」
「ええ。大ちゃんは？」
「だめだめ〜」
何気ない会話をしながら入口をくぐる。
男二人で水族館ってのもまたあれなのかな？
「だってねー。今日はこれがあるんだもん」
伊野尾くんが指さしたその看板には
【ペンギンのお散歩ショー本日限定開催】
そう書かれてあった。
「ペンギンのお散歩！たしかにだいちゃんとは来づらいかも。」
そう言って笑うと伊野尾くんもでしょでしょなんて笑う。
入場券を買うために販売口に向かう。
「高校生2枚くださーい。」
「はい、お二人はカップルでしょうか？」
私と伊野尾くんの姿を見て販売口のお姉さんがニコニコ笑いかける。
…周りから見たらそう見えるのかな。
「ちが「そうでーす」」
違います。そう否定しようとした私の言葉を遮る伊野尾くん。
カップル！？なんで！？
「本日限定でカップルは入場券が半額となっておりますので高校生2枚で1000円になります。」
お姉さんが淡々と金額を告げる。
急いで財布を出してお金を出そうとすると
「なにしてるの？はやくいこーよー。」
チケットを2枚にぎりしめた伊野尾くんに手を引かれた。
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作者名：にゃむ | 作成日時：2019年2月28日 5時
