カタツバキの花を君に *Kei.I* (ページ30)

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「あーやば」

進路ガイダンスがあると言うのに後輩に呼び出しをくらって遅刻しそうになる。

予鈴がなるまでもう少ししかないのだろう、辺りはシンと静まっていた。

自分が希望していた大学の教室を開ける。

「すみませーん…」

俺が最後なのだろう、後ろから入ると女子何名かがちらっとこちらをみて

いのおくんだ…なんて声が聞こえた。

謝りながら空いてる席を探すと、

見覚えのある後ろ姿があった。

「…Aちゃん、」

「伊野尾くん…？」

声をかけると驚いてこちらに振り向き不思議そうに首を傾ける。

「隣…いいかな？」

いつぶりにこんな近くで見ただろうか。

やっぱり周りの女子とは少し違った落ち着いた雰囲気。

…なんでいつも君を見つけると嬉しくなってしまうんだろう。