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「決勝で負けた」
肉じゃがをとりわけたお皿を両手で握って見つめながら話すだいちゃん。
いつもの元気な彼からは想像できないくらいの落ち込み具合だった。
「リバウンド取られまくって…。先輩達悔しいはずなのに俺の背中叩いて来年は勝てよって。」
「そっか…。」
なんとも言えない気持ちになった。
先輩と一秒でも長くバスケをする。それがだいちゃんの目標だった、
それを地区予選で終わらせてしまった。
…どんなに悔しいことだろう。
「Aの姿ずっと探してた…。決勝前までいないって知らなくて。決勝の前に母さんに言われてちょっとショック。」
「ご、ごめん、お母さんそんなに重症じゃなかったんだけど……」
むすーっと明らかにさっきよりもふくれっ面になっただいちゃん。
「ん、」
「え？」
口をとんがらせていたかと思うと持っていたお皿を私に差し出す。
「これだいちゃんのぶんだよ」
私の分あるし、と自分の前に置いてあったお皿を持ち上げると
違くて！なんて急に大きい声出すからびっくりして、
「……今日疲れて腕上がんないから食べさせてよ」
少し照れ臭そうに、分かれよ！って怒りながら。
「ええ、お行儀悪い…。」
私もおなかすいて食べたいし……。
「じゃないと黙っていなくなったの根に持つよ。」
思わずうっ、と声に出てしまう。
渋々お皿を受け取りいい感じに煮えてるじゃがいもを差し出すと、あーんって言えよ！なんてまた文句つけられて…。
でも、だいちゃんは自分のお母さんが作った料理なのにニコニコ満面の笑みで美味い、って言ってた。
さっきの落ち込みようとは比べ物にならなくて、
笑顔になってくれたのが嬉しくて、恥ずかしさとかめんどくささとかどーでもよくなった。
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作者名：にゃむ | 作成日時：2019年2月28日 5時
