カタツバキの花を君に *Kei.I* (ページ20)

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昇降口に行くと見慣れた背中がひとつと、見慣れない背中がひとつあった。

「ごめん、お待たせ…伊野尾くん！」

「やっほ～」

だいちゃんの隣に並んでいた見慣れない背中は伊野尾くんだった。

あれ、伊野尾くんって同じ方面だったっけ？

「伊野ちゃんが急遽俺の家泊まり来るって言い出して…大丈夫？」

「大丈夫ってなんだよ！」

「だって伊野ちゃん好きって賛否両論じゃん」

私を置いてハイペースで会話が進んでいく。

「私は全然構わないよ」

「え」

「やったぁ。ほらね？」

顔を顰めるだいちゃん。その反対で喜ぶ伊野尾くん。

いこーっ！なんて私とだいちゃんの手を取って歩き始めた。

「お肉と…ジュースと…あとは…」

「あっ明日の朝のパン。これは俺が取ってくるわ。」

「うん、じゃあ私野菜とってくるね」

スーパーについてから、だいちゃんの携帯のメモ画面とにらめっこしながら食材を揃えていた。

だいちゃんの家は共働きで忙しいから気づいたら食材が無かった！なんてことが多々あるらしい。

荷物持ちにさせられた伊野尾くんはブーブー言いながらもしっかりおもそうにかごを持ってくれていた。

「あっAちゃん、持つよ。」

「ほんと？かご重くない？」

既にパンパンになってるカゴの上に私の手に持っていたキャベツを乗せる伊野尾くん。

「…大ちゃんとはさ、どんくらい仲いいの？」

「えっ」

しばらくされていなかった類の質問を突然されて戸惑ってしまった。