夏の匂い、君想う second *Yuri.C* (ページ19)

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56話ページ19

表情は冷静だが怒りで拳が震えている涼介。

「…学校だけじゃ満足できなかったわけ？そもそも君が高木か誰か知らないけどAの幼馴染に振り向いてもらえないからの八つ当たりでしょ。ふざけるな。何？次は休みの日まで追い詰めてやろうと思ったら思いのほかのイケメンがいてしかもそこでまたそのイケメンはAに気があるように見えた。

………………Aが何したって言うわけ？」

自分でも自分の早口さにびっくりする。
隣にいた涼介がチラッと僕の方を見たけどすぐ視線を外された。

「…何した？…何もしてないわよ…！」

「普通に考えてわかんない？自分のプライドズタボロにされてさぁ…！カモのくせに…！」

僕達からの質問の意味が分からないとでも言いたげな表情で言葉を続ける九谷。

「いつもヘラヘラニコニコしてさぁ。先生の機嫌取りして特別可愛い訳でもないのに私の好きな人を取っていく…！思い出すだけで腹が立つ…！」

聞くに耐えない。

あの温厚な圭人でさえ目の奥に怒りが見える。

「…くだらない。そんなプライドのために人を傷つけていいとでも思ってるわけ？」

本当にくだらない。

「あいつも私のプライドを傷つけた。だから同じことをしたまでよ！」

「…もういい。聞くだけ無駄だ。あの男3人は俺らと同じ高校みたいだけどどこで知り合った？」

ずっと話を聞くだけだった大貴が口を開く。
やっぱり1番冷静なとこある…普段じゃ考えられないけど。

「友達よ。女紹介しろってうるさいから連絡したら飛びついてきたの。」

クズの周りにはクズが集まるんだ。
コネで入学したもの同士親に言い聞かせて入った高校。
勉強にも追いつくことが出来ずにやることがなくなったんだろう。

「…出てけよ。ここから。いますぐ。」

涼介の声にビクッと肩を揺らす九谷。

「お前とAをこれ以上同じ空間にいさせたくないしいて欲しくない。
早く出てけよ。」

「やま、もうちょっと言い方が…」

「こんくらい言わなきゃダメだろ。」

伊野ちゃんに反抗する涼介は初めて見たかも…。
確かに、Aにこれまでしてきたことを含めればこいつはまだ懲りないだろう。

クラスも一緒だって聞いたし。

いつまで経っても動かない九谷。

次第に腹が立ってくる。

「…ねぇ、はやくしてよ。気分悪いんだよね。」

……早く出て行ってよ。