54話(1/29更新) ページ17
「…あれ、裕翔…」
「あ、やっとこっち向いた。」
先程の出来事が怖くてずっと顔を上げることが出来ずみんなの顔が見れずにいた。
暫くすると気付いたら随分と静かになったので顔を上げてみると横に裕翔が座っていた。
「…みんなは…?」
「先帰ったよ。A大丈夫?」
「そっか…うん…ごめんね、迷惑かけて」
そう言って背中をさすってくれる裕翔。
少しばかり安心してまだ震えが残る手で浴衣を整える。
「気にしないで。迷惑だなんてちっとも思ってないよ。」
優しく微笑んでくれる。
「帰ろ、っか…。」
そう言って立ち上がろうとした。
けど、それは裕翔によって阻止された。
「…きゃっ…
裕翔…?」
私の手首を掴んで裕翔が引っ張った。
あっという間に裕翔の胸の中に収まる。
「…ね、このまま聞いてよ」
「う、うん」
トクトクと裕翔の心臓の音が心地よく聞こえる。
「俺、どうしようもないくらいAのことが好きみたいなんだ…」
一瞬。時が止まったかのように思った。
驚きで声も出せずにいる私を置いて裕翔は話を続ける。
「馬鹿だし、おっちょこちょいだし、鈍感だけど…そんなAが好きなんだ。」
「もう1回、チャンスをください。」
「裕翔……」
知念くんのことが好き。
そう気づいたばかりなのに。
自分の目の前で頬を赤く染めて恥ずかしそうに優しい目で私を見つめる裕翔を見たら
心臓がいつもの何倍ものはやさで動いているような気がした。
────────パンッ
遠くで花火が上がる音がする。
それと同時に
裕翔と私の影が重なった。
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作者名:にゃむ | 作成日時:2019年1月15日 22時