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「む。そうだな。じゃあ」
難しい顔をして、言い直す浦田くん。
「おれに惚れると、低温火傷するぞ」
「…………」
「すげえ格好悪いぞっ!」
「しかも、それも別に、クールではないしね」
湯たんぽみたいに暖かいって感じ。
すごいいい人そう。
「あ、そうだ。わかった。発想を転換すればいいんだ。阿良々木、こういう場合は、決め台詞はそのままに、クールという形容を変えればいいんだよ。クールな男という称号は惜しいが、この際仕方がない。背に腹は代えられないという奴だ」
「なるほど。ああ、確かにそうやって形容を変えてしまえば、逆に決め台詞に近づけるからね、セオリーと言ってもいい。連載二回目の表紙アオリ分に早くも大人気と書くみたいなものかな。よし、じゃあ、ものは試しだ、やってみよう。言い換えるのが、クールだから__」
「ホットな男と名乗ろう」
「ほっとするんだね」
「いい人そうだーっ!」
大袈裟のリアクションを取ったところで、はっと気付いたように、浦田くんは、
「阿良々木、話を逸らそうとしてるなっ」
と言った。
さすがに察されたか。
「阿良々木がおれをじっと見つめていたという話だった。どうしたんだ、ひょっとして、おれに惚れちまったか」
「…………」
全く察されていなかった。
「じろじろと見られるのはあまり気持ちのいいもんじゃねえが、しかし、確かに、おれの二の腕が魅力的であることは認めるぜ」
「特殊な嗜好だね」
「ほーん。二の腕には何も感じないと? この二の腕だぞ? この形式美がわからねえのか?」
「きみの身体は形式的に美しいの?」
健康美な。
「照れ隠しするとは、阿良々木にも可愛いところあるんだな。ふむ、理解してやろう。なんなら、キープしてやってもいいぜ。整理券を配布しよう」
「悪いが、私は寸足らずの男の子には興味はないんだ」
「寸足らず!」
その言葉に、目玉が飛び出そうなほど瞠目する浦田くん。
そしてくらくらと、貧血のように頭を揺らす。
「なんて侮蔑的な言葉だ……将来的に規制されそうなくらい、酷い言葉だ……」
「言われてみれば、確かに、そうだね」
「おれっ、すっげぇ傷ついたっ。発育はいい方なんだぜっ、本当だぞっ! 全くもうっ、人畜は酷いことを言うっ」
「人畜って、きみも思い出したみたいに言ってんじゃないよ。どっちかっていえば、そっちの方が先に規制がかかりそうじゃん」
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灰猫(プロフ) - 紅茶さん» 紅茶さんコメントありがとうございます!お返事遅くなってしまい申し訳ありません(><) Twitterですが、アカウントを作り次第わたるマイマイ其の参の方にリンクを貼らせて貰いますのでもう少々お待ちくださいませ!! (2020年4月28日 0時) (レス) id: cd0e1b19a2 (このIDを非表示/違反報告)
紅茶(プロフ) - Twitter教えていただきたいです!都合上いいねとフォローしかできませんがそれで良ければお願いします! (2020年4月4日 19時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - しのみやさん» しのみやさんコメントありがとうございます!これからも是非楽しく読んでやって下さい(*^ ^*) (2020年3月31日 23時) (レス) id: 06fe930ba8 (このIDを非表示/違反報告)
しのみや - 化物語も歌い手さんも好きなのでとても楽しく見させてもらってます! (2020年3月31日 18時) (レス) id: 5d97f4e4ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灰猫 | 作成日時:2020年3月29日 14時