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「ど、どうどう。よしよしよし」
「犬扱いすんなっ! それともなんだっ、それはおれのことを、いやらしいオス犬だと、遠回しに比喩してんのかっ!」
「いや、どっちかっていうときみ、リアルに狂犬病って感じなんだが……」
しかし綺麗な歯並びしているな、この子。私の手を骨に達するまでに噛んでおきながら、恐らくは乳歯混じりの歯は、一本すら抜けることも欠けることもなかったらしい。並びがいいだけでなく、とてつもなく丈夫な歯だ。
「大体、阿良々木、さっきからとてもふてぶてしいぞっ! 反省の色が見えないっ! 少年のデリケートな身体に触っておいて、一言くらいあってもいいだろう!」
「……ありがとう?」
「違うっ! 謝罪を要求しているっ!」
「そんなこと言われても、あんな取っ組み合いの最中なんだから、どう考えても不可抗力じゃん。腹くらいで済んでよかったと思って欲しいくらいだよ。それに、天宮も言ってたろうが。どう考えてもあんな洒落にならないレベルで他人に噛みついてきた、きみが悪いぞ」
「どっちが悪いなんて問題じゃねえっ! たとえおれが悪いとしても、それでもおれは多大なるショックを受けたんだっ! ショックを受けている男の子を前にしたら、自分が悪くなくても謝るのは大人の女ってもんじゃねえのかっ!」
「大人の女は、謝らない」
私は声を低くして、言った。
「魂の価値が、下がるから」
「格好いいーっ!?」
「それとも、浦田くんは謝られないと許せないっていうの? 謝ったら許してやるなんて……そんなの、相手が格下でない限り寛容になれないってことじゃないか」
「なんと、おれが批判される立場に!? 盗人猛々しいとはこのことだ……もう本気で怒った……温厚なおれだが、仏の顔もサンドバッグだっ!」
「ありえない温厚だな……」
「ていうか謝っても許さねえよっ!」
「別にいいでしょ。減るもんじゃないし」
「うわっ、阿良々木、開き直ったか!? 違う、減るもんじゃないとか、そういう問題じゃないっ! ていうかまだ発育途中でそんなにでもないのに、減ったりしたら困るっ!」
「鍛えたら増えると思うよ」
「そんな常識、知らない人はいねえよっ!」
「つまんない世の中になっちゃったね……」
「なんだ。阿良々木はそんな常識を盾にとって、今まで男たちの腹筋を触りまくってきたのかっ。最低だなっ」
「残念ながらそんな機会は一度もなかったかな」
「処女なんだなっ」
「…………」
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灰猫(プロフ) - 紅茶さん» 紅茶さんコメントありがとうございます!お返事遅くなってしまい申し訳ありません(><) Twitterですが、アカウントを作り次第わたるマイマイ其の参の方にリンクを貼らせて貰いますのでもう少々お待ちくださいませ!! (2020年4月28日 0時) (レス) id: cd0e1b19a2 (このIDを非表示/違反報告)
紅茶(プロフ) - Twitter教えていただきたいです!都合上いいねとフォローしかできませんがそれで良ければお願いします! (2020年4月4日 19時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - しのみやさん» しのみやさんコメントありがとうございます!これからも是非楽しく読んでやって下さい(*^ ^*) (2020年3月31日 23時) (レス) id: 06fe930ba8 (このIDを非表示/違反報告)
しのみや - 化物語も歌い手さんも好きなのでとても楽しく見させてもらってます! (2020年3月31日 18時) (レス) id: 5d97f4e4ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灰猫 | 作成日時:2020年3月29日 14時