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「阿良々木Aの名を最低の女として世に知らしめることができるなら、裸で土下座するくらい、安いものだよ」
「安いのはお前のプライドだよ」
お前、気位が高いキャラなんだか気位が低いキャラなんだか、もうよくわからねえよ。
「でも、靴下だけは穿いたりしてね」
「このオチでひとネタおしまいみたいなノリで言われても、そんな奇妙な性癖は持ってないよ、私は」
「靴下といってもニーハイソックスだよ」
「いや、よりマニアックに迫られても……」
あ、でも。
そんな趣味はないとはいえ、あくまで相川に相手を限れば、ニーハイ姿というのも見てみたくなくもない__いや、裸じゃなくていいから。メイド服なら見てみたいものだけれど……。
「その顔はいかがわしいことを考えている顔だよ、Aちゃん」
「まさか。清廉潔白を旨とするこの私がそんな低劣な人格の持ち主に見えるの? 相川からそんなことを言われるだなんて心外だな」
「あれ。根拠があろうがなかろうがいつでも僕はAちゃんにはそんなことを言い続けてきたつもりだけれど、今回に限って、特に突っ込みでもなんでもないそういう否定の仕方になるだなんて、怪しいね」
「う……」
「さては裸で土下座させるだけでは飽き足らず、そんな僕の肉体、全身という全身にあますところなく、油性マーカーで卑猥な言葉をあれこれ書きまくる気だね」
「そんなことまでは考えてないよ!」
「では、どんなことまで考えたのかな」
「そんなことより、えーと、浦田くん」
強引に話題を変える私。
「悪いね、ちょっと、時間がかかっちゃいそうだ。でも、この辺なことはわかったから__」
「いや___」
浦田くんは、驚くほど冷静な口調で__さながら、わかりきった数式の答を無感情に述べるような、非常に機械的な口調で、言った。
「__多分、無理だと思う」
「え……? 多分……?」
「多分という言葉が不満なら、絶対」
「…………」
多分という言葉に不満があったわけじゃない。
絶対という言葉に満足したわけでもない。
しかし__それでも、何も言えなかった。
その口調に。
「何度行っても、辿り着けないんだから」
浦田くんは。
「おれは、いつまでも、辿り着けないんだ」
浦田くんは、繰り返した。
「お母さんのところには__辿り着けない」
さながら__壊れたレコードのように。
壊れていない、レコードのように。
「おれは___蝸牛の迷子だから」
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名無し16825号(プロフ) - ありがとうございます!これからも楽しみに待たせていただきます! (2020年3月28日 9時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - 名無し16825号さんコメントありがとうございます!そう言っていただけてとても光栄です!この二人が付き合うかどうか等も今後の更新で分かりますので、ゆっくりですが今後も気長に更新を待っていただけると嬉しいです! (2020年3月28日 5時) (レス) id: 06fe930ba8 (このIDを非表示/違反報告)
名無し16825号(プロフ) - ところでこの二人付き合うんでしょうか?(( (2020年3月27日 22時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
名無し16825号(プロフ) - すごく続きが気になります!面白かったです更新頑張ってください! (2020年3月27日 22時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灰猫 | 作成日時:2020年3月26日 1時