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「ときに、浦田くん」
「なんだよ、阿良々木」
「この住所＿＿」
メモをポケットから取り出す。
まだ浦田くんに返してなかったのだ。
「＿＿の、場所には、一体何があるの？」
それに。
何をしにいくのか、だ。
道案内をする立場として、それは聞いておきたい＿＿まして、小学生の一人旅ともなれば、尚更だった。
「ふーんだっ。話しませーんっ。黙秘権を行使するっ」
「…………………」
本当に生意気なガキだな、おい。
子供が純粋無垢だって、誰がいったんだろう。
「教えないと、連れていってあげないぞ」
「別に頼んでねえよっ。一人で行けるっ」
「でもきみ、迷子でしょ？」
「だったら、なんだよっ」
「いや……浦田くん、あのね、後学のために教えてあげるけど、そういうときは、誰かを頼ればいいんだよ」
「自分に自信の持てない阿良々木辺りはそうすればいいだろっ。気の済むまで他人を頼れよっ。でも、おれはそんなことをする必要がないんだよっ。おれにとってはこの程度、日常自販機なんだからっ！」
「へえ……定価販売なんだね」
変な相槌だった。
まあ、浦田くんの立場からしてみれば、お節介なんだろうけれど、こんなの。私だって小学生くらいの頃は、自分ひとりの力で、何でもできると信じていた。人の手なんて借りる必要はないと＿＿あるいは、人の手なんて借りる必要なんて皆無だと、そう確信していた。
なんでも、できるなんて。
そんなこと。
できるわけもないのに。
「わかりましたよ、お坊ちゃま。お願いです、この住所の場所に一体何があるのか、どうかわたくしめに教えてくださいませ」
「言葉に誠意がこもってねえっ」
なかなか頑強だった。
中学生の弟なら、二人ともどっちも、この手に確実に落ちるというのに……とはいえ、浦田くんは賢そうな顔立ちをしているし、馬鹿な子供をあしらうようにはいかないというわけか。全く、どうしたものだろう。
「…………うむ」
妙案が閃いた。
ポケットから、財布を取り出す。
手持ちは結構ある。
「お坊ちゃん、お小遣いをあげよう」
「きゃっほーっ！ なんでも話しますっ！」
馬鹿な子供だった。
ていうか、本当に馬鹿……。
なんだかんだ言っても歴史上、こんな手で誘拐された子供は一人もいないと思うが＿＿浦田くんはその一人目になるかもしれない得難い人材のようだった。
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名無し16825号(プロフ) - ありがとうございます！これからも楽しみに待たせていただきます！ (2020年3月28日 9時) (
レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - 名無し16825号さんコメントありがとうございます！そう言っていただけてとても光栄です！この二人が付き合うかどうか等も今後の更新で分かりますので、ゆっくりですが今後も気長に更新を待っていただけると嬉しいです！ (2020年3月28日 5時) (レス) id: 06fe930ba8 (このIDを非表示/違反報告)
名無し16825号(プロフ) - ところでこの二人付き合うんでしょうか？（（ (2020年3月27日 22時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
名無し16825号(プロフ) - すごく続きが気になります！面白かったです更新頑張ってください！ (2020年3月27日 22時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2020年3月26日 1時
