歌物語［化］ わたるマイマイ

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告白は告白でもすごい告白をされた。

私もこの前させられたのだから、おあいこといえばおあいこだけれど。


「つまり！」


相川は続けて、こちらを人差し指でびしっと指差して、公園中に響き渡らんばかりの大きな声で、私を怒鳴りつけた。


「Aちゃんみたいないかさない処 女と話してくれる男の子なんて、精々僕のような行き遅れのメンヘル童 貞しかいないということだよ！」

「…………！」


こいつ……私を罵倒するためになら、自分の身を貶めることすらも厭わないのか……。

ある意味脱帽、ある意味白旗。

全面降伏。

まあ、相川の貞操観念の高さや身持ちの堅さみたいなものについては、実際のところ、先週、トラウマになるほどに痛感させてもらっているから、この件については、とりたてて深く追及しなくてもいいんだけれど。相川にとってそれは、そういうのは、最早性格ではなくて病状の域に達しているのだから。


「話が逸れたけれど」


と。

相川はあっさり平静な声に戻って、私に言った。


「実際のところ、何かないの？ Aちゃん。もっと単純に、困っていることとか」

「困っていること＿＿ねえ」

「僕、口下手だから、うまく言えないけれど、Aちゃんの力になりたいと思っているのは、本当なんだよ」


口下手ってことはないと思うが。

むしろ回り過ぎるくらいによく回る舌だとは思うが＿＿しかし、まあ、相川真冬。

根は悪い奴じゃない＿＿ん、だよな。

たとえ、禁止されていなくとも、これは。

不純な願いなんて、仇や疎かに出せるような状況ではないだろう。


「引きこもりを解消する方法を教えて欲しいとか」

「私は引きこもってなんかないよ。どこの世界の引きこもりがマウンテンバイクなんか持ってるんだっていうの」

「持っている引きこもりだっているかもしれないじゃないの。引きこもりだからといってそのような偏見な目で見ることは許されないよ、Aちゃん。きっと、タイヤを外して、部屋の中でずっと漕いでいるんだよ」

「エアロバイクじゃん」


健康的な引きこもりだった。

いるのかもしれないけれど。

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