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「ごめんなさいね。僕って、なんだか、Aさんから何かを言われると、ついつい、それを否定したり、逆らいたくなったりしちゃうの」
「………………」
謝りながらそんなことを言われても……。
あなたとは気が合いませんねって言われた気分だ。
「きっと、これは、あれだよね。好きな子を苛めたいって思う、ちっちゃな子供みたいな心境なのでしょうね」
「いや、弱い者を甚振りたいって思う、おっきな大人みたいな心境だと思うよ……」
ん?
今私、相川に好きな子って言われた?
あ、いや、言葉の綾か。
自分に優しくしてくれる男の子が全員自分に惚れていると思う中学生みたいな気分になっても大した意味はなさそうなので(スマイルはゼロ円)、私は、話題を戻す。
「ま、でも実際、そんな恩を感じられるほどのことはしたとも思ってないし、歌詞さん風に言うなら、『相川が一人で助かるだけ』なんだから、私に対して、恩を感じるとかは、やめにしとこうぜってこと。これから仲良くやっていきにくくなるでしょ」
「仲良く、ね」
相川は、口調を全く変えずに言う。
「僕__Aさん。僕は、Aちゃんのこと、親しく思ってもいいのかな?」
「そりゃ勿論」
お互い、抱えている問題を、披瀝し合った仲だ。他人とか、あるいはただのクラスメイトとかで済ます段階では、もう、ないと思う。
「そう……そうだね、お互い、弱みを握り合った仲だものね」
「え……? 私達、そんな緊迫した関係なの?」
ギスギスしてそう……。
「弱みとかそういうことじゃなくて、当たり前に親しく思ってくれりゃいいんだよ……そういうわけじゃないでしょ? そうしたら、私も、同じようにするからさ」
「でも、Aちゃんは、あまり友達を作るタイプの人間ではないよね」
「去年まではそうだったよ。タイプというより、主義だったからね。ただ、春休みにちょっとしたパラダイムシフトがあったわけで……そういう相川は?」
「僕は、前の月曜日までだよ」
そう言う相川。
「もっと言うなら、Aちゃんに出会うまで」
「………………」
なんだこいつ……。
ていうかなんだこの状況……。
まるでこれから私が相川から告白されてしまいそうなシチュエーション……息苦しいというか重苦しいというか、そう……心の準備が出来ていない、みたいな感じ。こんなことになるとわかっていたら、もっと服だって髪だってちゃんとして……。
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名無し16825号(プロフ) - ありがとうございます!これからも楽しみに待たせていただきます! (2020年3月28日 9時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - 名無し16825号さんコメントありがとうございます!そう言っていただけてとても光栄です!この二人が付き合うかどうか等も今後の更新で分かりますので、ゆっくりですが今後も気長に更新を待っていただけると嬉しいです! (2020年3月28日 5時) (レス) id: 06fe930ba8 (このIDを非表示/違反報告)
名無し16825号(プロフ) - ところでこの二人付き合うんでしょうか?(( (2020年3月27日 22時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
名無し16825号(プロフ) - すごく続きが気になります!面白かったです更新頑張ってください! (2020年3月27日 22時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灰猫 | 作成日時:2020年3月26日 1時