9話 ページ10
「ごめんー遅なった。」
教室につくと侑もいて、治に至ってはお弁当をほぼ食べ終わっていた。
「何しててん。」
不機嫌そうな侑が言う。
「先生に質問、テスト近いやん?」
そう今は一学期中間の2週間前。
真面目な生徒であれば勉強を始める時期なので、それを理由にすることが出来る。
「次から俺もする。なんで勝手に行くねん。」
寂しかったやんけ、なんて言っていじけながら私の方へ擦り寄って来る侑。
さっきのことがあったからか、妙に身体が強ばった。
「あんま近寄ってこんといて…。」
「なんでやねん。いいやろ。」
そう言って侑は私の腕に抱きついた。
「いっ…。」
アザが押されていたい。
「ねえ、どうしたの佐原。」
「?なんもないよ。」
鋭い角名はなにかに気付いた様子だった。
「侑、そいつの腕まくってみて。」
ギクリとした。
「え、ちょ、何言ってんの角名。」
治も異変に気付いたのか
「ツムええからはよ。」
なんて言っている。
侑は2人に従って大人しく私の腕をまくった。
顕になったのはたくさんの痣。
「なんやねんこれ。」
先程よりも険悪な空気
「な、んもない…、」
「なにも無いことないでしょ。」
ちゃんと言って。
怖がらせるつもりは無い、そう言いたげな声色。
「そやけど。」
「なあ、はよ言えや。誰にやられてん。」
侑はそうでも無いらしい。
犯人を見つけてすぐ殺す、そんな目をしていた。
「言わなあかん?」
「逆に言わん理由あんのか?」
「迷惑やん。」
迷惑というワードに反応したのか
「Aが殴られてることが俺らの迷惑なわけないやろ。」
治はそう言ってくれた。
「あんたら良い奴やなあ…。」
3人の顔を見てからずっと我慢していた涙が溢れ出た。
「怖かった、ほんまに怖かってん。」
わあわあ泣きながらそういう私を侑は静かに抱きしめた。
「うん、聞くからちゃんと言うて。」
またさっきの人たちを怒らせてしまうんだろう。
そんな不安もあったが
打ち明けたことでなぜだか強くなった気がした。
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零(プロフ) - 舞茸さん» ありがとうございます!楽しみにしています! (2020年6月6日 0時) (レス) id: 614ab4a9c9 (このIDを非表示/違反報告)
舞茸(プロフ) - 零さん» ありがとうございます!!くにみん!!!やばいですにやけました、絶対書きたいです。これ終わったら書きます。ありがとうございます!!笑 (2020年6月6日 0時) (レス) id: 370739b17d (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - すごく面白くて楽しませていただいています!リクエスト(?)なんですけどくにみんもこのシリーズで書いてくださったら嬉しいです!更新頑張ってください! (2020年6月5日 10時) (レス) id: 73833df8a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:舞茸 | 作成日時:2020年5月17日 16時