結婚恋愛６ (ページ8)

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普通の概念ページ8

「ユノが行けるなら大丈夫かな？」

Aが滑り降りたらユノが両手を広げて待っていた。

「きゃっ！結構はやーい！」

「あはーはーはー！」

ユノに抱き着いたら暖かくて、心地よくていつまでも抱き着いていたくなった。

「奥さん、随分と熱烈なハグで。」

クスクスと笑いながらニット帽の上から頭を撫でた。

「んふふふ。だって、普段外じゃ絶対できないし。」

少しはにかんで笑ったAを見たら、さっき思ったことが余計に胸の中を侵食してきた。

「ね、次はブランコ。」

「ジャングルジムは？」

「落ちて怪我したらどうするの！ダメ。ブランコで我慢して。」

Aがブランコに向かって歩き出した。

「ユノ、早く！」

Aの隣のブランコに座って漕がずに、Aがゆっくり漕ぎ出したブランコを見つめた。

「Aはさ、本当は俺と結婚しなかったら普通の恋をして結婚してたかもしれないのにゴメンね。」

本来の慎重さが言葉を持って現れ始めた。
その言葉を聞いて、Aがブランコの揺れを止めた。

「普通って何？」

「その、街中でデートしたり、出かけたり。」

「うーん、したじゃん。
　映画館にも行ったし、散歩もできてるし。
　初詣も行ったし、今公園で遊んでる。」

「そうだけど。」

確かに夏に映画館でデートはした。こうして散歩したりしてるけど、全て人目を避けていることには変わりない。

「私にとっては普通のこと。ユノと一緒に居ることが普通なの。」

またブランコを漕ぎ出して笑っているAの横顔を見つめた。

「ユノにとっても普通のことでしょ？」

「あー、うん…。」

「じゃあ、問題ないじゃん。カップルそれぞれの普通の概念があっていいんじゃない？
　私たちの普通がこれなんだよ。」

その答えを聞いて自分がAを選んだ理由がなんとなくわかった。

「色なこと楽しめればいいじゃん。」

「この前の喧嘩みたいに？」

ユノが笑いながらブランコを漕ぎ始めた。

「たまには喧嘩も必要でしょ？」

「まーね。俺は結構ショックだったけどね～。」

「私だってショックだったんだから！」

「あはーはーはーはー！Aちゃーん」

「なーに？」

「好きだよ～。」

「あはは、知ってる～。」

Aもユノも笑いながらブランコを漕いだ。