Guilty (ページ6)

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女を喜ばせる言葉ページ6

「ヒョン！ここに居たの…。みんなが探してますよ。」

静寂を破ったのは男を探しに来た男の相方。
こちらも目の前の男と種類の違う端正な顔立ち。
クリクリとした目でとらえた相手を見てから、自分の方に視線をずらして怪訝そうな顔をしていた。

「今行く。」

目の前の男は笑顔でそう答えて、自分の方に向きなおった。

「ごめんなさい。行かなくちゃ。足、帰ったらまたマッサージしてください。
じゃあ、また今度。」

立ち上がって会場に戻っていった。

一気に緊張の糸がほぐれてソファーに深く腰掛けて息を吐きだした。
そして自分のつま先を覗き込むと少し引いた赤み。
だるさは取れていた。
ゆっくりと紅茶を飲むと胃のあたりがじわりと温まっていくのがわかる。

「おいしい…。」

パーティー会場に戻る気にもなれなくて、ただ茫然と天井を見上げた。

「牧野、ここに居たのか。全然戻ってこないから。」

後ろから声をかけられて居住まいをただした。

「すみません。こういう場に慣れなくて。」

山崎もドサリとソファーに腰を下ろすと禁煙のために吸い始めた電子たばこを口にくわえた。

裸足の足元に気が付いてサンダルを履き始めた。

「牧野…その恰好似合っているよ。たまには女性らしい恰好したらどうだ？
　あ、これセクハラか。あははは」

山崎にしても先ほどの男にしてもどうしてこうもスマートに女を喜ばせるようなことが言えるのだろうか。
自分がその言葉に素直に喜ぶ種類ではないということが分かっているのか、山崎はそれ以上言葉を続けなかった。
そして、ひとしきり電子タバコを吸い終わると「帰るか。疲れただろう？俺も疲れたから。」と言ってタクシーで自宅に送られた。