Guilty (ページ43)

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連弾ページ43

「ピアノ弾けるんですね。」

「あぁ、少しですけど。」

自分がピアノを弾いてたことがとても気まずかった。
ましてやアーティストが使うスタジオを一般人の自分が使っていること自体が恥ずかしい。

「ごめんなさい、アーティストじゃないのに借りてしまって…。」

「別に僕に謝らなくても。会社が許可してるんだからいいですよ。」

ニコニコと邪気のない笑顔を見せるユノを見ていると、自分がひどく穢れたもののような気がしてならない。

「でも、もっと明るい曲弾いてもらいたいな。
例えば同じ月光を表すならドビュッシーとか。」

「ああ、なるほど。」

ドビュッシーの月の光の軽やかで優しいメロディーを奏でユノに目を向けた。
グランドピアノに肘をついて頬杖にして、瞳を閉じて曲に聞き入っている。

そのままクレメンティ―のソナチネの軽快なリズムを奏でた。

瞳を閉じたまま口元を緩ませている。

「ね、僕と連弾して。」

ユノが椅子の片側に座るとチョップスティックを弾き始めた。

「これ知ってる？」

「ええ、知ってます。」

「じゃあ、これで。」

ユノが高音部分、自分が伴奏部分を弾いていく。

簡単な曲なのにとても楽しい気分にさせる。
幼いころにこの曲をピアノの講師に習った時に楽しかったことを思い出した。

「牧野さん、やっぱり笑ってる顔が一番いいです。
　さっきは凄く殺気立ってましたから。」

いつの間にか鬱屈していた気分は晴やかなものへと変わっていた。