Guilty (ページ13)

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情報不足ページ13

眼鏡をかけた彼女がエレベーターに入ってきた。
あの時と印象は真逆に近いけど、それでも少し色素の薄い茶色の瞳や、唇の形、それから彼女の少し甘い香りはあの時と同じだった。

この前の赤く熱を持ったつま先が気になって足元を見るが、少ししか見えないつま先はよくわからない。

「お久しぶりです。足は大丈夫でしたか？」

一瞬驚いたように見開かれた目だったが、すぐに平静を取り戻したようで軽く頭を下げた。

足は翌日にはよくなったようで安心した。

彼女の胸元にぶら下げられたネームプレートに目をやった。
漢字が苦手な自分にはありがたいことに、ローマ字で振られた名前は「牧野A」。
昔、日本のテレビで見たドラマの主人公と同じ苗字。
その主人公を呼ぶ準主役のものまねを練習したことを思い出した。

自分たちの降りるフロアについたことを残念に感じたが、ここの顧問弁護士ならまた会えることもあるだろう。
思った以上に小柄だった彼女はとてもシンプルな服装だった。
眼鏡をはずした彼女はとても幼く見えて、その幼さのわりに落ち着いた話し方をするからもしかしたら自分と同じくらいなのかなと思っていた。
眼鏡をかけた彼女はとても大人っぽく見えたし、一つにくくられた髪はつやのある滑らかな髪だった。
短時間で彼女の情報は自分の中でインプットされたが、それでも彼女に対しての情報は不足している様な気がした。