結婚恋愛 (ページ50)

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尻に敷かれるページ50

ロードワークから帰ってきてキッチンから明かりが漏れているのに気が付いた。
つけっぱなしで出かけてしまったのかと思ってリビングに入っていった。
でも、そうではなかった。まだ６時だというのにAは起きてキッチンに立っていた。

「おかえり。走ってきたの？」

「ああ、なんか太ってきた気がして。」

冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して一気に半分ほど飲み干した。

「だって３日間も家にこもってるんだもん。」

「耳が痛いな。こんなに早くから起きてるの？」

顔をしかめてAがキッチンに立つ姿を眺めた。

「ユノさんの朝食と昼食。それからお弁当作らないとだから。」

綺麗な黄色の色をした卵焼きを作っていた。

「あ、そうか。ありがとう。」

自分のために料理を作ってくれるのをありがたく感じた。
宿舎にハウスキーパーが居たとは言え、早朝から起きて家事をやってくれるわけではないし、ハウスキーパーはあくまでも仕事だ。
仕事じゃないのに自分のために早く起きてくれるのは嬉しい。

「シャワー浴びてきて。その間にご飯作るから。なるべくゆっくりね。」

「入ってきてくれるの？」

「バカ。朝食の準備をゆっくりするためよ。」

「チェッ、ちょっと期待したのに。」

新婚４日目にしてこんな会話ができるようになったのもなんだか不思議。
朝食を二人でとって、それから弁当を自分で包むAを見た。

「明日は俺のお昼も弁当がいい。」

お弁当なんて作ってもらったことが久しくない。
噂に聞く愛妻弁当を食べてみたくなった。

「へ？」

Aがユノを見上げた。

「ごはんにハートとか、名前とか書いてくれると嬉しい。」

前からの憧れを口にした。

「ぷっ、なにそれ？」

ユノらしいと言えばユノらしい。

「いいだろ？ロマンチストなんだよ。」

ちょっと馬鹿にされたような気がして、ムッとした。

「知ってる。わかったから、早く食べちゃって。」

ふふっと笑うとコーヒーをすすった。

「うん。」

すでに尻に敷かれ始めてるな。そういう自分も悪くない。