結婚恋愛 (ページ35)

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一つのベッドページ35

「…。」

「ほら、一番いい方法は一緒に寝るしかないだろ？
　いい子だからこっちにおいで。」

リビング横のドアにAを連れ立って入っていた。すでに照明は落としてある。
ほの暗い部屋の中でベッドにもぐりこんでから、突っ立っているAに隣に寝るように右手でトントンとマットレスを叩いた。
仕方なくベッドに入ると極力端の方で背中を丸めた。

「明日、何時起きですか？」

Aがベッドサイドのチェストに置かれた時計をいじった。

「今日から一週間休み。」

「そうですか。じゃあ、朝はゆっくりでいいんですね。」

それを聞いて朝6時に目覚ましをセットした。

「明日、俺の知り合いがAを迎えに来るから、その人と買い物とエステ行ってきて。」

明日は千恵に頼んでAを連れ出してもらうように頼んだ。
いきなり自分とずっと一緒というのは苦痛だろうし、気分転換もしてきてほしかった。

「はい…。」

「それから、そんな端で寝たら落ちるよ。」

そういうとAの腰に手を回しグッと自分の方に引き寄せた。

「力抜いて。そんなに緊張しなくても、今すぐどうこうなろうなんて思ってない。」

それを聞いて安心してAは緊張していた体の力を徐々に抜いていく。

「そう。それでいい。いい匂いだね。」

首筋にユノの息がかかる。

「同じシャンプーですよ。」

素っ気ない返答にクスリと笑いがこみ上げてきた。

「うん。でもAの香りが混ざってる。」

ひときわ大きく息を吸い込んだ。

「ユノさん。こうやって何人の女性をたらしこんできたの？」

Aがいじけたような雰囲気をまとった。

「酷いな。その言い方。
　自分からこんなことするのは初めて。
　いつも相手からのアプローチで付き合ってきたし。
　だから、俺からアプローチするのも結婚を口にしたのも初めて。
　安心して。Aだけだから。」

なんだかその言葉にホッとしたのは気のせいだろうか。

「ねえ、ユノさん…なんで私なの？」

「グゥー」

すでにユノは寝ていた。
ベッドからすり抜けようと思ったけれど、ユノの腕にと足にがっちりとホールドされて身動きが取れず仕方なく目を閉じた。