不機嫌なスーツケース ページ8
「ただいま〜」
ユノの明るい声が玄関に響いた。
「お、おかえりなさい。」
極度の緊張でどもってきた。
顔も多分こわばっていると思う。
だって、口元がさっきから引きつっているから。
「ちゅーは？」
ユノが首をかしげてAを見つめる。
―その仕草犯罪。てか、わざとやってるでしょ？
「…。」
「久しぶりの旦那さんの帰宅なのに、元に戻ったってやつ？
しょうがないなぁ〜。」
ニヤニヤしながらAの頬にキスをした。
それにボンッと音を立てて赤くなって俯いていたら、スーツケースを持って見事に自分の横をすり抜けていく。
相変わらず脱ぎ散らかされた靴はユノの足の構造を謎にさせるのには十分な方向を向いていた。
たった2ヶ月なのに、初めて一緒に暮らしたような感覚と、懐かしい感覚が混在した不思議な感覚に陥る。
カギを閉めてからリビングに入るとユノがクマのぬいぐるみの肩を抱き何やら話している。
「俺の留守中にAと一緒に過ごしたんだろう？
どうだった？ん？自分に寄り掛かってきたって？それが可愛かったって？
そうだよ、俺の奥さんは可愛いんだよ。
あ、まさかお前襲ってないだろうな？」
真剣な表情でクマのぬいぐるみと会話をしているユノを唖然と見つめた。
会話は止まることがなく、仕方ないので寝室に運ばれたスーツケースを開けた。
服をたたむという行為が極端に苦手らしい。
スーツケースの中は無残な状態。
「ユノォォォッ！」
その怒りの雄たけびを聞いて姿勢を正した。
「くまちゃん、俺、奥さんに怒られる気がする…。」
「スーツケースの中どうなってるのよ！！！！！」
リビングに戻ってきたAの背中にメラメラと燃える炎が見えた。
「どうって、服を…」
「きちんと畳めっていつも言ってるでしょ！！！！」
そこまで言って、また寝室に戻ってスーツケースの中身の洋服を両手に抱えて、ブツブツと文句を言いながら脱衣所の洗濯機にそれを放り込んだ。
「ああやって怒ってるけど、すぐに機嫌がよくなるから大丈夫。
だって、俺はAの愛する旦那さんなんだ。
その証拠に、パズルはそのまんまだろ？」
ローテーブルのパズルは外枠が作られたままだ。
どうやらAの願掛けは無事成功したらしい。
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chie(プロフ) - <綺麗に>お風呂に一緒にお風呂に入って…気が急いてる♪ (2017年1月21日 2時) (携帯から) (
レス) id: bc37bde429 (このIDを非表示/違反報告)
chie(プロフ) - 誤字報告。<ため息>静かな社内→車内 (2017年1月19日 1時) (携帯から) (レス) id: bc37bde429 (このIDを非表示/違反報告)
chie(プロフ) - 誤字報告。<我慢>着ける→点ける (2017年1月19日 1時) (携帯から) (レス) id: bc37bde429 (このIDを非表示/違反報告)
maimai(プロフ) - kaedeさん» そうなんですよね。でも、否応もなしにやってくる(笑) (2016年12月27日 23時) (レス) id: 08ffa3699f (このIDを非表示/違反報告)
chie(プロフ) - ごめんなさい。誤字報告ダブりました。以後気をつけます。 (2016年12月24日 2時) (携帯から) (レス) id: bc37bde429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：maimai
| 作成日時：2016年11月24日 22時
