ある男が幸せだった話 (ページ26)

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202006・mg side ページ26

*裏匂わせ表現有り

時は流れて明日は康二の誕生日。

どうしても一番に祝福したくて、今日から康二の家に押しかける。

午後の個人の仕事が終わって康二の家に向かう。

途中で花屋を見かけ、せっかくだしと思って足を運んだ。

「すいません、恋人の誕生日に贈る花束作って貰えますか？」

「はい。何かご希望の色とかありますか？」

「えーと、オレンジ、をいれてほしいです。」

「かしこまりました。」

しばらくして店員さんが作ってくれたのはオレンジバラをメインにしたブーケ。

すごく康二にぴったりで、喜ぶ顔が目に浮かぶ。

お礼を言ってお会計し、ウキウキとした気持ちで康二の家に向かった。

今日の午後仕事がなかった康二が料理を作って待ってくれてて、「仕上げするな？」ってキッチンに向かった康二を尻目にもはや勝手知ったる康二の家の納戸に花を隠した。

店員さんに頼んで１日くらい花瓶にささなくてもいいようにしてもらったから大丈夫。

他愛も無い話をしながらご飯を食べて、何気ない幸せを噛みしめる。

ちょうどよく腹も膨れてテレビを見ていたとき、康二が突然テレビを消した。

驚いて康二を見ると、こちらを真っ直ぐ見つめてきた。

いつもより心なしか赤らんでいる事に色気を感じて思わず目をそらす。

と、俺の膝の上に置いた手に手を重ねてきた。

「､､､なあ、蓮。俺のこと､､､､､抱いてや。」

「､､､っ、いいの？無理しなくても､俺は今でも十分､､､」

「ちゃう。俺が、してほしい。」

付き合い始めた頃に話し合った。

どうしても受け入れる側の負担が大きいから、康二の心の準備ができるまで待つし、俺は康二自身を愛してるから、康二が嫌だったら一生そういうことはしなくてもいい。と。

だからこれまでの４ヶ月間、多少のイチャイチャはあっても、抱く、という行為はしてこなかった。