ある男が幸せだった話 (ページ14)

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202001・mg side ページ14

まっすぐ家に帰って電気も付けずにソファに座っていたら涙が溢れてきた。

あーあ、失恋かぁ…

なんて感傷に浸っていた時。

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

突然のインターホンにびびって涙も引っ込んだ。

モニターに映っていたのは一番予想してなかった人だった。

「康二､､､？」

「ﾊｱ､､､ﾊｱ､､､めめ！」

「走ったの？」

「うん。めめに、謝らなあかんと想って！あと、お願いがあんねん！」

「とりあえず入れば？」

ドアの前にいた康二はまだ少し息が上がってた。

期待なんかしちゃいけないのに、俺のために走ってきてくれた、ってだけで嬉しかった。

「めめ、泣いてたん､､､？」

「､､､っ、そりゃ、失恋したからね。」

そう言うとガバッと頭を下げる康二。

「あんな、めめ。ほんまにごめん！」

「もう良いって。ちゃんと諦めるから。」

「違うねん！俺、今まで、ちゃんとめめの告白に向き合えてなくて、変わらず接してくれとるめめに甘えてた。」

「え､､､？」

「でも、さっき終わりにするって、諦めるって言われて、すごく嫌やった。

俺にそんな資格無いのにな､､､正直な、俺、めめの事好きかどうか、分からん！

けどな、きちんと好きって言ってくれたのに、向き合わないで終わっちゃうのは、嫌や。

やからな、勝手なお願いって分かってるんやけど、俺にもう一度時間をください！今度はちゃんと、自分の気持ち、考えるから。きちんと、めめの気持ちに向き合うから！」

「､､､分かった。」

「！」

まだ康二が俺のこと好きになるかなんて分からないのに、でも、俺が好きって伝えたことが、康二に伝わってたって事が何故か嬉しくて、じゃあもうちょっと待ってても良いかなって、思ってしまった。

俺が悲しむのは、はたまた喜ぶのは、もうちょっと先延ばしにしよう。