彼は誰時 (ページ6)

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『私の笑顔はそんな風に見えますか？』

「俺には悲しいって言ってるように見える」

『人の笑顔をそんなふうに言うのは多分ジョングクさんだけですね』

「よく変わってるって言われる」

そういう訳じゃないと思うんだけどな。

それでも私は、誰にも暴かれないように笑顔に隠したSOSを誰かに気づいて貰えたことに、確かに救われた。

また動きだした目の前のお箸に、この人はいい意味で他人にあまり興味が無いのだな、と改めて実感する。

「……トマト食べるの、ちょっと待っとって」

『はい？』

急に目の前のサラダに視線を落として、呟かれた言葉。

遂におかしくなったの？

呆気に取られてると、酷く整った顔が不機嫌そうに歪められてこちらを向いた。

その様子に、先程の彼の言葉を思い出してやっと理解する。

どうやらジョングクさんは、面白い程に彼には似合わないオヤジギャグを披露してくれていたらしい。

むすっとこちらを見つめるジョングクさんを見ていると、何だか可笑しい。

「なに、笑ってくれないわけ？」

『…ふっ、あはは』

失礼かもしれないなんて分かっていながら、どうしても込み上げる笑いを止められなかった。

どうしよう、笑いすぎて何だか久しぶりに腹筋を使ったかもしれない。

『オヤジギャグって、……ってどうしたんですか……？』

ようやく収まった笑いに、目の前のジョングクさんを見ると、この雰囲気に似合わないほどに優しい顔をしていた。

そんな彼の瞳に、少し困惑した私が映る。