彼は誰時 (ページ24)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:29,172 hit

24 ページ24

・

言葉が出なかった。圧巻、その言葉でも足りない。

ジョングクさんはきっと、いや絶対に今のお仕事が天職だ。

ステージの上で歌ったり踊ったりするジョングクさんは、今まで見てきた中のどんなものよりもキラキラ輝いていた。

「はいこれ」

映像が終わって画面が暗くなると、ジョングクさんがくすくす笑ってこっちを見てた。

『ハンカチ…？』

「A泣いてるんだもん、そんなに感動してくれた？」

『うそ、ほんとだ』

私ってば、自分が泣いてることにも気づかないくらい熱中していたみたい。

恥ずかしいところ見せちゃったな。

『こんな在り来りな言葉で表すのが正しいかは分からないけど、ジョングクさんは本当に凄いです』

「全く、大袈裟」

『大袈裟なんかじゃないです！』

「はいはい、ありがとう」

照れ隠しなのか、ゴシゴシ私の顔を拭う。そんなにきつく拭わなくったっていいのに。

『なんか変な感じですね』

「何が？」

『だって画面の中の人が目の前にいるんですよ』

「まあ、本物だからね」

芸能人って類の人には、もちろん会ったことなんてなかったし関わる対象ではないから、改めて考えると変な感じ。

私、このままそばに居ていいのかな、

「Aはなんも気にしなくていいよ」

『へ？』

「ここにいる時はアイドルじゃないんだから」

この人は心が読めてしまうのだろうか。私の不安をすっと察して消し去ってくれる。

「これ見てちょっとはかっこいいって思ってくれた？」

『それはもう！』

「まあ、ヒョンたちが映ってるのがちょっと…」

『テヒョンさん達ですか？』

「だってヒョンかっこいいし」

確かに、ジョングクさんの"お仕事仲間"さんたちは、凄く素敵な人たちだったけど、

『私はジョングクさんが1番素敵だと思いましたよ？』

ジョングクさんの大きな目が、いつも以上に見開かれる。

「はぁ、そういうこと簡単に言わないの」

ふいっとそっぽを向かれてしまった。綺麗な横顔かは覗く耳が少し赤くなってるのを見て、私まで顔に熱が集まる。