逃亡卅捌 ページ39
「逃げろ_____!!」
何処からか天元様の声がした。
生きていたんだ、よかった…。
お嫁さん達が悲しまなくて済む…。
少し離れたところに落とされた私はまだ地面とハグ状態。
動く気力すら湧いてこない。
「…………」
何だこの絶望感、虚無感。
深い暗い谷の底に落とされたみたいだ。
光を求めて暗中模索するけれど、無駄。
光は失ったのだから。
探したって戻りっこない。
堕姫様とはもう永遠に会えない。
この事実がどれだけ私を苦しめるか。
私は堕姫様の真名も知れなかったんだ。
あの美しい人が堕姫だなんて名前じゃないはず。
でも、聞くに聞けなかった。
断られたらどうしようなんて不安があって。
「……でも、聞いとけばよかったなぁ…」
結局私は堕姫様の特別な何かになれたのだろうか。
だからこのまま干からびて死んだって構わない。
堕姫様と同じところへ行けるのなら。
目を閉じて生を諦めた。
だけれどそれを許してくれない人がいて。
「あ"ぁ、イテェ!おい、探したんだからなこの重傷の俺が」
「…………」
天元様…?
別にいいのに。
ほっといてください。私このまま…
「まだ仕置きしてねぇだろが」
そう言って私の目の前でしゃがみこむ天元様。
私の顔をジロジロ見てくる。
なんですかジロジロ見ないでください。
天元様を睨む。
「その眼、辞めろ。」
眼?
光を失って虚ろになった私の眼を指さす天元様。
だって今生きる意味なんて無い。
眼なんてどうだっていいでしょ。
「…………」
すると天元様がクナイを突き刺してきた。
「俺以外を見る眼なんて必要ねぇだろ」
飛躍しすぎじゃ???
ゴクリと唾を飲んだ。
そして天元様はクナイを刺そうとした_____
「あ、あああの!!!」
「は?」
今、天元様を止めたの、誰?
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麗葉 - 堕姫様ってよく考えたら「片付けろ!」とか「花魁の言うことなのだから禿はしっかりこなせ!」ぐらいしか言ってない、、、梅様LOVEです。 (5月17日 0時) (レス) @page42 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
陽毬(プロフ) - 素晴らしい皮肉とツンデレを交えた濃厚なメリバヤンデレ……最高過ぎます。話のテンポも軽快で終わり方も素晴らしいです。書いてくださりありがとうございますm(_ _)m (2023年1月10日 0時) (レス) @page42 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
ザイ(プロフ) - はれて堕姫様推しになりました!!最高です!! (2022年12月10日 8時) (レス) @page42 id: 699f0917a9 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - 堕姫さま、、、、、😭😭😭😭 (2022年10月20日 6時) (レス) @page42 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
バレーボール - 堕姫様推しとしてとても素晴らしい作品に出会えて光栄でした。ありがとうございました。 (2022年2月21日 20時) (レス) @page42 id: a6efa60e38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤目のなりすまし | 作者ホームページ:http://instagram.com/nuka___1111
作成日時:2019年9月12日 21時