私の客を取らないで【鬼滅の刃】

逃亡卅参 ページ34

それから数年、あの時天元様と見た月は今でも脳裏に焼き付いている。

瞼を閉じれば昨日の事のように思い出せる。



そしてこの忍の世界について知ったことは山ほどあるが、


中でも驚いたの宇髄家のこと。







宇髄家は嫁を三人娶るらしい。

なので天元様も嫁が三人いる。
雛鶴さんとまきをさんと須磨さん。


天元様にお嫁さんが決まった時は喜んだ。







私はそばに居ると言ったけれど、それは恋愛感情じゃなくて兄弟的な好きだったので、

天元様の嫁になるつもりなんてなかった。








でも宇髄家に育てられたのでどこぞの馬の骨か知らぬ男に嫁がせるよりは、宇髄家に嫁がせようということになり。






天元様の結婚が決まってまもない頃。



私は天元様の弟様と婚約が決定。

歳が天元様よりも近いから。






婚約だけれど、滅茶苦茶喜んだ。




親の顔も知らぬ私が遠くない未来で結婚できるなんて！！









報告を受けたときは飛び上がるのを必死に抑え、その後天元様に報告しに行った。








『天元様〜〜〜！！私、婚約が決まりましたぁ〜〜〜！！！』






私をここまで育ててくださった天元様。


天元様に育てられた私が他の男の元へ嫁ぐことを誰よりも喜んでくれると思っていた。









でも、違った。

天元様は冷たい声で




『何処の何奴だ』


と言った。



予想と違いすぎてびっくりしたけど、相手を知ってくれれば喜んでくれるかななんて

安易なことを考えていた。







『あ、私、正式に天元様の義妹になれるんです！！相手は天元様の弟…』






最後まで言わずとも、天元様の額に青筋が。

義妹、嫌でした！？！？








『地味な嫌がらせばかりしてきやがって……地味にぶっ殺す…』





ボソッと呟いたその言葉を聞き逃さなかった。

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