逃亡卅 ページ31
「まだ切見世へ行っては駄目」
そう念を押す堕姫様。
念を押される私。
「な、何故ですか…?」
おずおずと理由を聞いてみた。
どうして言動が違うのですか……?
「なんか文句あるわけ?」
けれど教えてくれるはずもなく。
いつもの口癖を言われる。
うわすごい権力を乱用してくる!!!
「え、あ、…無いです…」
私は堕姫様の前ではこう言うしか無いのです。
いえ、それでいいのですが…。
「…………」
「…………」
沈黙。
なにこの沈黙。
耐えられず口を開こうとした。
が、堕姫様が先に喋り出した。
「アンタみたいな子、嫌いだったの。ずっと。うざいし不細工だし従順で気持ち悪いし不細工だし」
いきなりのカミングアウト。
もはや動揺は隠しません。
「そ、そんなに不細工でした……?」
二回も言う??その短い間に二回??
不細工がかなり濃縮されている気がするんですが!!!!
「当たり前でしょ??近寄りたくもなかったわ」
「ええ……暴露が凄い……」
暴露大会か何かなのでしょうか。
そんなに嫌がられると逆に近寄りたくなるのが私という人間。
近寄ろうか迷っていると、堕姫様が小さい声で呟いた。
「でもこんな我儘なアタシに付き合ってくれて、本当に………」
小さかったので必死に堕姫様の声を拾おうと聞いた。
けれど、そこから先の言葉を堕姫様は飲み込んだ。
「………堕姫様…?」
急に小さい声で、どうしたのですか?
何を言おうとしていたのですか?
疑問が絶えずに頭の中をグルグル回る。
だけど、次の一言で吹っ飛んだ。
「…………A。幸せに、ならなかったら………殺すから…」
そう言った堕姫様は泣きそうな顔で笑った。
「え……?」
その言葉に呆気を取られ、堕姫様が目の前から消えたことにも暫く気づかなかった。
堕姫様…?
どういう事ですか?
ちゃんと、言ってくださいもう一度…。
「堕姫様!!!!!!」
だが、堕姫様が私の前に現れることは無かった。
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麗葉 - 堕姫様ってよく考えたら「片付けろ!」とか「花魁の言うことなのだから禿はしっかりこなせ!」ぐらいしか言ってない、、、梅様LOVEです。 (5月17日 0時) (レス) @page42 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
陽毬(プロフ) - 素晴らしい皮肉とツンデレを交えた濃厚なメリバヤンデレ……最高過ぎます。話のテンポも軽快で終わり方も素晴らしいです。書いてくださりありがとうございますm(_ _)m (2023年1月10日 0時) (レス) @page42 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
ザイ(プロフ) - はれて堕姫様推しになりました!!最高です!! (2022年12月10日 8時) (レス) @page42 id: 699f0917a9 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - 堕姫さま、、、、、😭😭😭😭 (2022年10月20日 6時) (レス) @page42 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
バレーボール - 堕姫様推しとしてとても素晴らしい作品に出会えて光栄でした。ありがとうございました。 (2022年2月21日 20時) (レス) @page42 id: a6efa60e38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤目のなりすまし | 作者ホームページ:http://instagram.com/nuka___1111
作成日時:2019年9月12日 21時