逃亡廿玖 ページ30
遊郭を出るのを誰にも見られてはいけないため雛鶴さんが切見世に行ってからだいぶ経った夜中になってしまった。
夕方は楼主に夜中抜けたい、と相談しに行っていた。
楼主の部屋から戻ればもう仕事。
てんてこ舞いです。
抜け出す時、一番気をつけなければならないのが蕨姫。
怪しまれたら終わりなので会わないように気をつけた。
なので誰にも見られてない、はず…!!!
外出を断固拒否する楼主を押し切って内緒で来ちゃいました。
雛鶴さんが切見世に行ってからもう何時間も経ってる。
もしかしたら…雛鶴さんは、もう
…いやそんなこと考えるのやめよう。
そう思って空を見上げながらボーッと歩いていた。
最近の私の趣味、ボーッとすること。
すると見知った声が前から聞こえてきた。
「何してるのかしら」
「えっ」
目の前にいたのは堕姫様。
え、え、何故ここに?
私にGPS機能か何かつけました?
「ふん裏切り者。雛鶴を切見世に逃がしたのも全て仕組んでたんでしょう」
行く道を仁王立ちで塞ぐ堕姫様。
「堕姫様!!!そのようなことは決してありません!!!」
必死に否定する私。
先程の楼主と私の会話みたい。
「じゃあ何故切見世に行くの?」
「そ、それは」
言葉に詰まってしまった。
雛鶴さんの様子を見に行きたいだなんて言えない…。
「アタシから逃げるためでしょ?」
「違います!!」
そんなこと絶対に有り得ません!!!
「アタシに喰われたくないんでしょ」
「喰われたいです!!!」
ん????なんかこう、言ってることが……まあいいや。
「まああんたみたいな豚小屋でバッコバコの豆腐なんてこっちから願い下げだわ」
鼻で笑う堕姫様。
私を下等生物かのように見てきます。
「…堕姫様…」
そんな堕姫様も素敵なのですが……。
そんなこと考えている場合じゃないですよね。
どうしよう。
堕姫様も雛鶴さんも捨てたくなかったのが駄目だったんでしょうか??
二兎追うものは一兎も得ずを今痛感……。
「だ、堕姫様、出直してきます。雛鶴さんを連れてくればよろしいですか!?そうなのですか!?」
切見世の方へ、堕姫様の方へ行こうとした。
けれど、堕姫様に怒鳴られた。
「まだ行かないで!!!」
「えっ」
先程までの態度と言動が違って戸惑う。
行かないで?どうしてそんなことを言うのでしょうか??
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麗葉 - 堕姫様ってよく考えたら「片付けろ!」とか「花魁の言うことなのだから禿はしっかりこなせ!」ぐらいしか言ってない、、、梅様LOVEです。 (5月17日 0時) (レス) @page42 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
陽毬(プロフ) - 素晴らしい皮肉とツンデレを交えた濃厚なメリバヤンデレ……最高過ぎます。話のテンポも軽快で終わり方も素晴らしいです。書いてくださりありがとうございますm(_ _)m (2023年1月10日 0時) (レス) @page42 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
ザイ(プロフ) - はれて堕姫様推しになりました!!最高です!! (2022年12月10日 8時) (レス) @page42 id: 699f0917a9 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - 堕姫さま、、、、、😭😭😭😭 (2022年10月20日 6時) (レス) @page42 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
バレーボール - 堕姫様推しとしてとても素晴らしい作品に出会えて光栄でした。ありがとうございました。 (2022年2月21日 20時) (レス) @page42 id: a6efa60e38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤目のなりすまし | 作者ホームページ:http://instagram.com/nuka___1111
作成日時:2019年9月12日 21時