逃亡廿捌 ページ29
「……………」
雛鶴さんの不意をつき、迷わず押し倒す。
身動きの出来ないよう雛鶴さんの両手は私の膝を乗っけて固定。
「退いて!!」
キッと睨みつけられる。
美人なお顔が勿体ない。
「雛鶴さんごめんなさい。
円満に終わりたかったのですが………。私は此処を離れるわけにも天元様の元に行くわけにもいかないのです。」
言うだけ言うと私は懐から帚木から貰った毒を出した。
抵抗する雛鶴さんに毒を飲ませる。
雛鶴さん、ごめんなさい。
「っ、Aちゃ、ん……」
最初はきっと耐えようとしたのだろうけど、息が吸えない状況にすると毒を飲んでいた。
少量だし、雛鶴さんはくノ一だし死には至らないはず!!!
なんて一石二鳥!!!
暫くすると雛鶴さんがむせて、血を吐いた。
それを見て私は雛鶴さんの上から退き部屋から出る。
これで、誰かを呼べばいい。
案外上手くいったかな、なんて。
悪女過ぎる??
これで雛鶴さんが帰ってくれば誰も傷つかずに済む。
私は私の幸せと堕姫様の幸せをとる。
廊下に出た私は起きている遊女を探しに徘徊した。その人に第一発見者になってもらわねば。
あ、いた。蓬木だ。
「蓬木、雛鶴知りませんか?」
「知らないけど」
嫌な奴が来たみたいな顔をされる私。
そんなに嫌ですか???
「探してもいないのです…蓬木、探すのを手伝って貰えません?」
ニコニコしながら聞くと、やはり私の予想通り…
「はあ?なんで私が…」
と、断ってきた。
そうかそうか、君はそういうやつなんだな。
こっちにも策はある。
貴方に第一発見者になってもらわないと。
「蕨姫の簪」
「探してくるわ」
とこの言葉だけで通じる私たちは一生マブダチ。
チョロい。チョロすぎる。
蓬木が蕨姫の簪を嫌がらせでこっそり盗んだのを私は知っている。
それを弱味に蓬木にはなんでもできる、と思ったので蕨姫には未だに言っていない。
ごめんなさい蕨姫!!!
そのあとは私の思う通りに進んだ。
蓬木が雛鶴さんの部屋に行き、倒れているのを見て後ほど切見世へ。
計算外だったのは蕨姫が帯を渡したこと。
あれによって攻撃され雛鶴さんが瀕死になったらどうしよう。
いや高確率でなりそうですけども。
……様子、見に行こうかな。
切見世に運ばれた雛鶴さんを心配して遊郭を出た。
だがその日、新入りが蕨姫にぶっ飛ばされる事件が起こってしまうのは私はまだ知らない。
2623人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麗葉 - 堕姫様ってよく考えたら「片付けろ!」とか「花魁の言うことなのだから禿はしっかりこなせ!」ぐらいしか言ってない、、、梅様LOVEです。 (5月17日 0時) (レス) @page42 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
陽毬(プロフ) - 素晴らしい皮肉とツンデレを交えた濃厚なメリバヤンデレ……最高過ぎます。話のテンポも軽快で終わり方も素晴らしいです。書いてくださりありがとうございますm(_ _)m (2023年1月10日 0時) (レス) @page42 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
ザイ(プロフ) - はれて堕姫様推しになりました!!最高です!! (2022年12月10日 8時) (レス) @page42 id: 699f0917a9 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - 堕姫さま、、、、、😭😭😭😭 (2022年10月20日 6時) (レス) @page42 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
バレーボール - 堕姫様推しとしてとても素晴らしい作品に出会えて光栄でした。ありがとうございました。 (2022年2月21日 20時) (レス) @page42 id: a6efa60e38 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:赤目のなりすまし | 作者ホームページ:http://instagram.com/nuka___1111
作成日時:2019年9月12日 21時