逃亡廿漆 ページ28
早速雛鶴さんに会いに行った。
まだ寝ているかな?
二度寝の時間だもんなぁ。
雛鶴さんは花魁なので個室が与えられるのがこれ程よかったと思ったことは無い。
深呼吸をして戸を叩いた。
「雛鶴さん、いますか」
シーンと静まりかえる。
いないのかな、なんて心配していたとき、
「…どなたでしょうか」
と、中から声がした。
よかった、いた。
「Aです」
そう言うと勢いよく戸が開いた。
お久しぶりです、雛鶴さん。
できれば会いたくなかったですが。
「Aちゃん…!」
目が大きく開いて、目の前に幽霊がいるかのように私を見る雛鶴さん。
「雛鶴さん、大事な話があるんです。中に入れてください」
そう言って中に入れさせてもらった。
途端に雛鶴さんが私の肩を掴んだ。
「心配してたのよ!?此処にずっといたの?何年も??天元様はずっと貴方を探していて…、そうだ、此処に鬼がいるでしょう!?蕨姫花魁っていう、早く逃げて!?危ないから!!」
ものすごく喋るのでビックリして固まってた。
よ、よかった、殴り合いにならなくて……
「いえ、逃げるのは雛鶴さんの方です。お願いします此処から出ていって下さい」
「何を言ってるの…?」
「そのままの意味です、此処から消えてください」
言い方がきつかったかもしれないけど、このくらい言わなきゃそうしてもらえないだろう。
「でも、…」
「雛鶴さん、狙われてるんです。どうかお願いです、雛鶴さんが喰われるところを見たくないんです」
頭を下げる。
天元様のことは好きではない。
でも、雛鶴さんが死んでしまうのは違う、と思っている。
「…私も病の振りをしてここから脱出しようとしていたの…」
小さな声で呟く雛鶴さん。
「そうですか!それならよかった」
満場一致で解決!
いやぁ、血が流れなくてよかった…
「でも天元様に言われているの、貴方を連れて帰れ、と」
「……」
「貴方も此処から離れるのなら、私は切見世へ向かう」
考えていることは同じ。
でも微妙にすれ違う意見がヒビをどんどん広げていく。
「できません」
「なら私もできない」
目を見てハッキリと言う雛鶴さんに負けじと言い返そうと思った。
だが、きっとこれは口だけでは解決出来ない問題だと気づいた。
なので私は行動に移すことにした。
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麗葉 - 堕姫様ってよく考えたら「片付けろ!」とか「花魁の言うことなのだから禿はしっかりこなせ!」ぐらいしか言ってない、、、梅様LOVEです。 (5月17日 0時) (レス) @page42 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
陽毬(プロフ) - 素晴らしい皮肉とツンデレを交えた濃厚なメリバヤンデレ……最高過ぎます。話のテンポも軽快で終わり方も素晴らしいです。書いてくださりありがとうございますm(_ _)m (2023年1月10日 0時) (レス) @page42 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
ザイ(プロフ) - はれて堕姫様推しになりました!!最高です!! (2022年12月10日 8時) (レス) @page42 id: 699f0917a9 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - 堕姫さま、、、、、😭😭😭😭 (2022年10月20日 6時) (レス) @page42 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
バレーボール - 堕姫様推しとしてとても素晴らしい作品に出会えて光栄でした。ありがとうございました。 (2022年2月21日 20時) (レス) @page42 id: a6efa60e38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤目のなりすまし | 作者ホームページ:http://instagram.com/nuka___1111
作成日時:2019年9月12日 21時