私の客を取らないで【鬼滅の刃】

逃亡廿壱 ページ22

それから数日今西様は返事を待つと言ったのを行動に移した。






全く来なくなったんです。

待ってくれてるんだ…
やっぱり紳士だなぁって実感。






でも一ヶ月経っても来なくて。








……私、関わった男性の生命を危険に晒す体質とかなんですかね。




それとも身請け話無しってこと？？
いや、まあ、いいけど、ね？？？









常連客の野山様が来た日。





「身請け話が来たんだってな」

この人かなり男前な方で、
身請けの話も笑いながら尋ねてきた。




「野山様の耳にまで入っていたんですね」


「当たり前だ。それでどうすんだ？」






いやそれは即答でお断りなのですが………。
今西様の名を傷つけないよう、曖昧に答えた。




「まだ迷っています。」

「そうか、まあお前が幸せになれる身請けなら俺は賛成だがな」



世の中にどうしてこんないい人が産まれてくるのかそのリサイクルを教えて頂きたい。



「…今西様のこと、噂や何か知りませんか…？」






野山様にほかのお客のことを聞くのもどうかと思ったけど…。

なんでもいい、どうして一ヶ月も顔を出さないのか知りたい……。




「いや知らねぇなあ。なんだ？なんかあったのか？」


そうですよね…。
噂が回っているなら私の元にも届く気がします……。



「いえ、なんでもありません、ありがとうございます…」









常連客の井上様が来た日。





「ねぇ…身請け、聞いたよ？どうするの…？」




この方は井上様。かなり執着気味な人でして。


井上様のお気に入りだった遊女が井上様の執着した性格にウンザリして足抜けしたらしい。



そして私のところへ来た。



「身請けに…行っちゃうんだ…？？」



「井上様、心配なさらないでください。」




言えることはそれしかない…。
迷ってますなんて言ったら何されるかわからないし。

「僕には君しかいないのに……」


「………」





すみません、微笑むことしかできません。
なんだか態度は違えど天元様と似ている部分が合って怖いのです……。




「あの、」

「なに？」





今西様の事を聞こうと思った。

けれど、井上様にほかの男性客の名前を出すと面倒なことになるので聞くのはやっぱりやめることにした。


「……いえ、なんでもないです。」




「そう？ねぇ、さっきの続きなんだけど……」







井上様の話を考え事しながら聞いた。

ほとんど頭に入ってこなかったけど。

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