私の客を取らないで【鬼滅の刃】

逃亡拾漆 ページ18

「帚木がいなくなったそうです」

「そう」








「………それは、」


帚木ですか、と声が出ない。

どうしよう、首を縦に振られたら。






………もしも、そうなら。嫌だ。






帚木が、こんな、顔がぐちゃぐちゃにされて誰かもわからない死体だなんて。

体のほとんどバラバラにされて山積みになっている死体だなんて。













「聞かないなら教えてあげる」





そう言って立ち上がった蕨姫。

知りたいけど知りたくない葛藤で苦しい。




目の前に蕨姫が来た。


















「帚木はアタシが殺した」





それだけ告げた蕨姫が部屋を出て行こうので引き留めようと口を開いた。






「ど、どうして…ですか、」



「別に理由なんてないわよ」






振り返らずに部屋を出ていった蕨姫の後ろ姿を眺めることしかできなかった。







私は帚木だった死体へ近づいた。





妹を残して逝ってしまった帚木。
昼間一緒にいたのに。



こんな姿になってしまったなんて信じられない。






















「ん？」







死体を眺めて違和感をおぼえた。





確かにバラバラだけど、なんだか体がゴツゴツしているというか。




女と言うより男の体みたい。









「……まさか。」





この死体は帚木では無いのではないか、という疑問が頭をグルグルと回る。






どうして蕨姫は何故この部屋から出ていったのか。








帚木は、生きてる…？






「蕨姫、分かりにく過ぎます…っ」








走って蕨姫を追いかけた。

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