ようこそ、妖怪と藤の家紋の家へ【鬼滅の刃】

件:弐 ページ30

「俺が戻るまでこの屋敷から出るな」



という言葉を残し、煉獄様は屋敷を出た。







……頭が追いつかない。




煉獄様は刀を取りあげ、私をどうしたいのだろうか。



だが一番重要なことは、今すぐこの屋敷から出なければならないということ。







煉獄様が戻ってきたら一体何をされるか、想像しただけで身震いしてしまう。





あんな怖い人にこのまま捕まるなんて、絶対に嫌。








「逃げる準備を…」






その時、隣でお茶を啜る音が聞こえた。






「え？」




この屋敷には私以外居ないはずなのに。


もしかして煉獄様？







そう思うと怖くてなかなか横を見れない。





『痴話喧嘩はもう終わりか？』






煉獄様でないその声に少し安堵した。


横を見るとそこには、







『とても気に入っていたのだが』



その妖怪は肩を落としてそう言った。








「………見世物ではございません。」



キッと睨みながら言う。








居たのは【ぬらりひょん】。




謎の多い妖怪で、忙しい屋敷にどこからともなく家に入り込み茶を飲んだり、煙草を吸ったりする。





妖怪の総大将とも言われているが、謎が多いためよく分かっていない。








『なんだ、お前は為す術無しか』





笑いながらぬらりひょんが聞いてきた。







「私は今逃げることしかできませんから」








私は力もないし、記憶も無いし、何をしたらいいのか分からない。



でも煉獄様に捕まれば、酷いことをされるということはわかる。







『逃げるだけではつまらん。

そうか、ならばあの男に対抗できる方法を授けるか』




ろくでもない方法に決まっている。





「……そんな方法、いりませ」









『件、出てこい』






私の言葉をハナから聞かずにそうぬらりひょんが言うと、どこからか妖怪が出てきた。






【件】(ｸﾀﾞﾝ)と、そう告げていた。







【件】は体は牛だが人間のような顔をした妖怪。


未来のことを予言し、その災いを逃れる方法を教える。





だが生まれると数日で死んでしまう。


菅原道真公の銅像の横にいるのが【件】である。








「何故、私に構うのですか」




ぬらりひょんがここまでする理由など無いはず。









☆お待たせしました!_____

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