【文スト】チェロの音はもういいから！！【ドストエフスキー】

六曲目 ページ6

変な夢を見た。



黒い髪の青白い顔の人が自分の名前を呼んでいる。しかも、恍惚していた。



自分を見て。


そして檻にいたのだ。





(ホラーすぎる…)





流石に目を覚ましたら自分のベッドにいるはずだ。居なきゃおかしい。いや、何がなんでもいて欲しい。お願いします。お願いします。





｢…………｣





いや、待てよ。


目を閉じながら何を考えているのだろう、と急にバカバカしくなった。






何を考えていたのだろう。


誘拐とかそんなのあるわけない。


パチッと目を開ける。







とくにいつもと変わらない天井。




｢……なーんだ、ほらね｣





なんて独り言を呟ける余裕もあるのだ。


やはり所詮夢は夢だ。









｢何が、ほらねなんですか？｣








｢いやだから、誘拐とかそんなのあるわけないよねって｣




(ん？？？？？？？？)






｢ぼくが貴方をほかの人にそんなことさせると思いますか？｣






｢いや誰もあたしのことなんて…



え？？？？｣







(まってまってまって)






理解が追いつかない。




今顔を横に向けなくない。




いや向けちゃいけない。絶対そう。





頭ではわかってる。だが体が横を向こうとする。





好奇心というやつか？？？
こんなときに。危険な好奇心すぎる。









｢おはようございます、Aさん｣



(これダメなやつだ。)






ニコッと笑った紫眼が妖しく光り、その間あたしは、絶句していた。

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