【歌い手】吸血鬼の館で家事、始めました。第2章【吸血鬼】

吸血鬼が59人 ページ11

「…別に、嫌じゃ…なかった、です…」



思いのほか出た声は小さかった。

それでもすぐ近くにいるそらるさんには聞こえただろう。


「え？なんて？そらるさん聞こえなかったなー。もう一回」



ふ ざ け ん な。


そらるさん…絶対聞こえてたでしょ。


キスが嫌じゃなかったなんて恥ずかしいセリフもう言いたくないですよ。



私は無言で首を振る。


「！うぁっ、痛い…そらるさんっ」

「じゃあもう一回言って？じゃなきゃ次はもっとすごい事するよ」



耳を甘噛みされた。

次はもっとすごい事って…身の危険を感じる。


諦めよう。



「そらるさんのキス、…い、嫌じゃ…なかった、ですっ…」


きっと私の顔は真っ赤だろう。


恋愛経験ゼロの私には全てが初めてなのだ。

仕方がない。


「ん、良く言えました〜」


頭を撫でられた。



そういえば、私はお礼が言いたくって探しに来たけど、そらるさんはなんのために来たんだ…？

まぁ後で聞けばいいか。



「じゃあAが頑張って言ってくれたから俺も頑張ちゃう」


掴まれていたと首を解放され二人向き合う形になって座った。



なにこれ…いきなり真面目な話？


「初めて会った時、一目惚れしました。俺はAが嫌いな吸血鬼だけど、絶対危険なことはしないし絶対幸せにする。だから、俺とっ…結婚を前提に付き合ってくれませんか？」

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