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『でも、まだそうと決まったわけじゃねぇだろ。
病院で検査、明日ちゃんとしてもらおう。俺、休みとるから。』
泣きそうになる彼女の肩を掴んで、
そんな言葉しかかけられない自分に情けなくなる。
でも、彼女はまた首を横に振り、口を開いた。
「…今日、行ってきた。」
『え？』
「4週目。ばっちり、あっちにいたときだった。」
『…お前、一人で行ったの？そんな身体で？』
気分が悪そうな彼女にそう尋ねると、首を横に振った。
「健人と。」
そして、聞きたくない返事が返ってきた。
『は…？』
「病院に行ってね、エコー当てるとね、動いてるの。
わずかだけど、こんなに小さいのに、一生懸命動いてて…。あぁ、生きてるって。生きようしてるって…。」
机の上には、エコー写真が数枚置いてあって、その一枚を彼女は大事そうに抱えていた。
「正直、病院に行くまでは迷ってた。
でも、目の前で懸命に生きる姿を見て、この動きを止めちゃだめ、止めたくないって思った。」
『A…。』
何を言うか、わかっていたからこそ。
彼女の口を塞ぎたい衝動に駆られた。
でも、決心した彼女にそんなことしても無駄だってこもわかってたから、その拳を握りしめる。
「私、産むことにした。彼との子を。」
俺の予想が外れればいい、
そんな思いも虚しく、彼女は言葉を続けていく。
「だから、彼との離婚を解消することになった。」
そう言うと、その場から立ち上がる彼女。
「ありがとう。風磨と過ごせて、幸せだった。」
俺は立ち上がることができず、そんな俺から背を向ける彼女。
かろうじて動く腕で彼女の細い手を掴む。
『アイツのところに戻れば、また同じことの繰り返しだ。まだ時間はある。これからのことをもっとゆっくり…、』
俺の言葉に彼女は変わらず首を横に振る。
「未婚で若いあなたに、子連れでバツイチ、しかも子どもの親は上司、そんな負担をかけさせるわけにはいかない。
それに、健人は変わろうとしてる。
もう一度、彼と向き合って、生きていこうと思う。
だって、私たち、一度は愛を誓った夫婦だから。」
そう言うと、俺の腕をゆっくりほどいて、近くにあったスーツケースを手に取るA。
『…本当に、行くのか？』
俺の問いに、背を向けたままこちらを振り返らなかった彼女は、そのまま部屋から出て行ってしまった。
一番首を横に振ってほしい質問だけ、縦に振って。
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ichigomaple(プロフ) - えっえっえっ、caming soom、、？えっ、、えっ、？笑 (2021年12月15日 1時) (
レス) @page41 id: 2d8d4d0b71 (このIDを非表示/違反報告)
m - コメント失礼致します。こちらの作品は少し前に執筆されているようで今更ながらですが読破させて頂きました。涙が止まりませんでした。はらはらどきどきした思いと愛について深く考える事ができました。これからも舞子様の作品を楽しみにしております。 (2021年9月1日 4時) (レス) id: ea118f12f8 (このIDを非表示/違反報告)
藍色(プロフ) - コメント失礼します。主人公に感情移入してしまい、泣いてしまいました。占いツクールでこんなに泣いたのは舞子さんの小説が初めてです。完結おめでとうございます！素敵な小説に出会えてとても嬉しいです。ありがとうございましたm(_ _)m (2020年5月15日 21時) (レス) id: 82bbddf0f3 (このIDを非表示/違反報告)
maron(プロフ) - 初めまして。凄く感動してドキドキしました。本当に実話であるんじゃないかってくらいお話上手で入り込めます。本当に良かったです。 (2019年10月25日 13時) (レス) id: c5d9cde9db (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - 舞子さん、いつもコメントさせていただいていました！完結おめでとうございます！本当に今まで歓喜あまって泣いてしまうとかあってほんとに切ないとこもあったけど、ほんとにこの作品はダイダイダイ好きです。これからも応援しています(^^)ありがとうございました(^^) (2018年11月25日 3時) (レス) id: a3d65aa3c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：舞子
| 作成日時：2018年3月16日 21時
