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「風磨〜!こっち、こっち!」
予想以上に早く仕事が終わって、
Aに指定された場所へと向かう。
腕時計を見ながらキョロキョロする彼女は俺を見つけると、瞬く間に笑顔になって大きく手を振る。
『わり、遅くなった。』
「全然!私もさっき来たところだし。」
普段外で待ち合わせをしてこうやって会うことはないから、なんだか付き合いたてのカップルのデートのよう。
年甲斐もなく心が躍る自分がいる。
『ってか…、飯ってまさかここ?』
「ふふ、正解〜!」
俺が目の前の小洒落た建物に目線を移すと、
ドヤ顔で答えるA。
「松島さんがね、この前高校の同級生の結婚式に参加されたとき、二次会のビンゴゲームでホテルのペア食事券を当てたんだって!
でも、行く人いないし、仕事あるから風磨くんと行っておいでって。」
バッグから取り出したいかにも二次会パーティ感あふれる封筒から出てきたのは、
それに似合わないキラキラとしたこのホテルの最上階のレストランの招待券。
『やるじゃん、松島。笑』
「なんか持ってるもんね〜。笑」
2人して顔を合わせて思わず笑ってしまう。
『じゃ、今日は松島大先生のご厚意に甘えますか。』
「そうですね。笑」
くるりと振り返ってホテルの方へ足を向けるA。
そんな彼女の腕を俺は掴み、
自分の手を彼女の指に絡める。
「えっ…」
『なに、嫌なの?』
「ち、ちがうちがう!意外すぎてびっくりして…」
驚いた様子の彼女の目は
俺と繋がれた手を交互に行き交っている。
まだ唖然とする彼女の手を引いて、エントランスへと向かう。
俺だってこんなことするタイプじゃない。
でもさ、さっきの会話だったり、こうやって普通の恋人みたいはことをするのはAとは初めてだから。
すっ飛ばしてきたいろんなこと、
やり直すってなると、過去の俺らを全否定しているみたいだから言わない。
どんな出会いでも、
今こうしてAといれることは、
過去があったから。
ここから。
再スタートという意味でも大切にに踏んでいきたい。
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ichigomaple(プロフ) - えっえっえっ、caming soom、、?えっ、、えっ、?笑 (2021年12月15日 1時) (レス) @page41 id: 2d8d4d0b71 (このIDを非表示/違反報告)
m - コメント失礼致します。こちらの作品は少し前に執筆されているようで今更ながらですが読破させて頂きました。涙が止まりませんでした。はらはらどきどきした思いと愛について深く考える事ができました。これからも舞子様の作品を楽しみにしております。 (2021年9月1日 4時) (レス) id: ea118f12f8 (このIDを非表示/違反報告)
藍色(プロフ) - コメント失礼します。主人公に感情移入してしまい、泣いてしまいました。占いツクールでこんなに泣いたのは舞子さんの小説が初めてです。完結おめでとうございます!素敵な小説に出会えてとても嬉しいです。ありがとうございましたm(_ _)m (2020年5月15日 21時) (レス) id: 82bbddf0f3 (このIDを非表示/違反報告)
maron(プロフ) - 初めまして。凄く感動してドキドキしました。本当に実話であるんじゃないかってくらいお話上手で入り込めます。本当に良かったです。 (2019年10月25日 13時) (レス) id: c5d9cde9db (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - 舞子さん、いつもコメントさせていただいていました!完結おめでとうございます!本当に今まで歓喜あまって泣いてしまうとかあってほんとに切ないとこもあったけど、ほんとにこの作品はダイダイダイ好きです。これからも応援しています(^^)ありがとうございました(^^) (2018年11月25日 3時) (レス) id: a3d65aa3c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:舞子 | 作成日時:2018年3月16日 21時