誘愛。3 (ページ2)

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episode98 ページ2

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俺が希さんに出会ったのは15歳の春。
高校一年のときだった。

中学まで、この見てくれで周りからはそこそこチヤホヤされてきた。

でも結局は見た目。それだけに寄って来られることに嫌気がさし、基本女子は苦手で、話しかけられても無視していた。

その尖った性格のせいで敵を作ってしまうことも多かった。

敵を作るのも面倒くさいと学んだ俺は、高校生になってある程度愛想良く振る舞うようになった。おかげで友人もできた。女子をかわす術も身に付けた。

そんな中、出会ったのが希さんだった。

希さんは、一目置かれていた俺のことを知らなかった。

だからこそ、他の生徒と変わらない態度で接してくれて。
彼女に誘われ、生徒会に入った。

綺麗で勉強もできて、誰でも分け隔てなく接する希さんは学校でも人気者だった。

俺のことも生徒会の一人の仲間として見てくれ、俺は初めて自分の素を見せることのできる人に出会い、初めて心を許せる存在ができた。

彼女に特別な感情を抱くのはそう遅くはなかった。

希さんが生徒会から離れるとき、自分の気持ちを伝えようと決めていた。

浮かれていたその矢先。親の再婚が決まった。

そして、その相手には子どもがいると聞き、初めての顔合わせのとき、俺は絶望を味わうこととなった。

初めて心を開いた女性、初めて好きになった人は、俺の義姉になってしまった。

そして、顔合わせの日、「健人くんが弟でうれしい！」と不安そうな顔をしていた彼女がで無邪気に喜ぶ姿に、俺は自分の気持ちを一生隠すことを誓った。

希さんが好きだった。どうしようもなく。

でも、好きな気持ちを懸命に押し殺し、精一杯弟のふりをした。

それでも、好きな気持ちは消せなかった。

法律的には連れ子同士でも、恋愛関係にはなれる。
どこか、希望を捨てていない自分はいた。

でも俺は、二度目の絶望を味わうこととなった。

それは、希さんの結婚だった。

相手は信頼する山田先輩。お似合いすぎる二人に認めないなんてことはできなかった。

最後の最後まで弟として喜んで、精一杯祝福して、精神的にはボロボロだったけど、平静を装った。

そのとき、ずっと縋り付いていた気持ちを解放する決心をした。

だから、せめて世界一幸せになってほしい。

俺は、本気でそう想っていたんだよ。