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思いがけない光景に、

頭が真っ白になる。




『七瀬さんっ…!!』




でも、身体は勝手に動いていて。

俺は戸惑いながらも彼女に駆け寄る。




「お前…。」




俺に気が付いた幼馴染はこちらを見たけど、
俺には目を閉じて汗をかいている彼女しか視界に入らなくて。

震えた声で何度も彼女の名前を呼ぶけど、応答する様子はない。




「お前、落ち着け。」

『お、落ち着けるわけないだろ…!!』

「わかったから、とりあえず保健の先生のところ行って、救急車呼ぶよう頼め。俺は今から病院に電話する。」

『わ、わかった…。』




俺は幼馴染の言う通り、保健室へ向かう。


手が震えて、訳がわからないままとりあえず保健の先生に事情を話して救急車を呼んでもらう。


しばらくするとあの独特のサイレンを鳴らしながら、救急車が到着した。




救急車が来るまで、

保健の先生が七瀬さんに付き添っていて、その横には幼馴染の姿。

彼は七瀬さんを保健室に運んでからずっと、彼女の手を握っていた。




俺は、何もすることができず、近くに立って彼女を見つめる。

何でこんなことになったのか、何もかもわからないまま、パニック状態だけど、

救急車を待つ間の幼馴染の姿を見ていると、妙に慣れていて。

もしかしたら、初めてのことじゃないのかもしれない、という疑問が生まれた。





「救急車、どなたか乗りますか?」




担架に横たわる七瀬さんが救急車に乗り込むと、そう尋ねる救命士さん。




『あっ…乗り、』

「俺が行きます。」




俺の言葉に被せるようにハッキリそう言った幼馴染。




『俺も…』


「お前が言っても無駄だ。救急車の中でも病院でもAの状況を説明できるのは俺が一番正確だ。

お前はタクシーでも拾って後で来い。場所は総合病院だから。」




俺にそう言って、「お願いします」と言い、救急車に乗り込んだ彼と七瀬さんを乗せた救急車はあっという間に俺の目の前からいなくなる。




突然のことすぎて、状況が把握できない。




何でこんなことになったのか。

なぜ彼女は倒れたのか。

混乱する一方。




でもそれより、

苦しそうにする彼女を目の前に

何もできなかった自分の無力さに、

情けなくなる気持ちが何よりも大きかった。

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作者名:舞子 x他2人 | 作成日時:2018年1月1日 18時

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