それでも、君と。 (ページ30)

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「七瀬さん、お疲れ～！」

HRが終わって、担任の先生が教室から出ていった瞬間、飛びつくように私の席に来た中島くん。

『お疲れ様。』

「俺今日一日、ずっと楽しみにしてた！放課後のために頑張った！」

『大袈裟だなぁ(笑)』

「本当だよ～！！」

顔をくしゃっとさせて笑う中島くんに、
私もつられて笑顔になる。

誰かといて、こんなに気持ちが和むのは久しぶり。

「あ、七瀬さん、俺、英語のノート持って行かないといけなかった…。」

『そっか、中島くん、英語係だったね。
大丈夫。まだ準備終わってないから教室で待ってるよ。』

「ごめんね！すぐ戻って来る！」

教卓に置いてある課題の英語ノートの山積みを見て仕事を思い出した中島くんは、クラス分のノートを持って風のように教室から出て行く。

あんなに楽しみにしてくれているなんて、私も嬉しくなる。

正直、不安はあるけど、中島くんならきっと話しても大丈夫。

そう思えてきて。

今は不安よりも楽しみの方が大きい。

「ねぇ、七瀬さん。」

準備が終わって席に座って待っていると、
私の名前が呼ばれる。

声のする方を見ると、
女の子数人が私をじっと見つめていた。

名前を呼ぶってことは、
多分クラスの人だよね…？

でも、誰一人わからない。

顔の見分けも、つかない。

もちろん、名前も。

『……』

「やっぱり、私たちは無視なんだ。」

何も言えずに黙ってしまうと、

そう冷たく言い放つ言葉が、私に降りかかってきた。