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“ Aちゃん、すぐみんなのことわすれちゃうなんて、ともだちじゃなーい。”
“ 友達の顔すら覚えられないなんて、都合のいい言い訳。ただ他人に興味ないだけでしょ。”
“ 七瀬。流石に先生の顔がわからないはないんじゃないか?”
いつからだろう。
そんな言葉をかけられるようになって、自分の病気について話すのをやめたのは。
説明したところで、身体的症状と違って理解されにくいし、有名な病気でもないからみんな興味を示さない。
傷付くとわかっているなら、いっそ、初めから人と関わらず、病気のことも語らず過ごしたほうがいい。
その考えに至るまでは、ごく自然なことだった。
でも、ずっと羨ましかった。
休憩時間の度に席を離れ、楽しそうに話す、
イベントのたびに盛り上がり、一致団結し、汗を流しながら仲間と笑い合う、
放課後、特に約束もせず、当然のように遊びに行く、
そんなクラスメート達が。
でも、同時にそれは自分には縁のないことだということもわかっていた。
諦めていた、ずっと。
「友達」と呼べる人に出会うことを。
諦めていた、のに……
「七瀬さん、遊びたいときはいつでも遊ぼうよ。何か特別なことがなくても、七瀬さんの好きな本の話とか、もっと聞きたいし。
嬉しいこととか、嫌なこととか、たくさん話そう。
友達なんだから、遠慮しちゃダメだよ?」
事故以来、初めてできた友達は、男の子。
彼は、私の病気を知って、これから迷惑も傷つける事もあるかもしれない。
それでも、私を「友達」と言ってくれた。
私が欲しくてたまらなかったことを次々と叶えてくれる、まるで絵本の魔法使いのような人。
『中島くん…。ありがとう…。』
「そんな泣きそうな顔しないで。
ほら、ご飯食べよう!早く食べないと5時間目始まっちゃう。
でも今日は苦手な数学バッチリ予習してきたから、当てられてもいける気がする!笑笑」
彼は、簡単に私の壁を壊してくれる。
それはとてもいい意味で。
そして、壊した方が案外気持ちが楽、
そう教えてくれるのも全部彼なんだ。
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作者名:舞子 x他2人 | 作成日時:2018年1月1日 18時