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夕暮れ時。
ビルとビルの間から、夕日が差し込む。
昼間と違って少しだけ肌寒くなり、次第に季節は冬へと近づいているのだと感じる。
今日もいつもと同じように暖簾を店内は片付け、店じまいをした。
JK「A!」
名前を呼ばれ振り向くと、駆け足でこちらへ向かってくるジョングク君がいた。
「ジョングク君…、あっ、お疲れ様」
夕日に照らされた彼が美しくて、思わず見とれてしまった私に優しく微笑みかけた。
うっすら汗が滲んだ彼にお茶を出そうと店内に戻ろうとしたら、手をパシッと掴まれた。
JK「よかった。もう帰ったのかと思ったよ」
「ちょうど今帰るところだったよ。とは言ってもうちはここなんだけどね」
JK「え、Aの家ここなの?」
そういえば、彼とはここで一言会話するくらいしか交流がなかったので、お互いのことをあまり知らないことに気づいた。
「私、幼い頃両親を亡くしてて、ここでおばあちゃんと二人暮らししてたんだ。今、おばあちゃんは病院にいるから一人暮らしなの。」
すぐ下が職場なんだよって得意げに言った私を、ジョングクは切ない表情で見つめた。
JK「ごめんね、辛いこと話させちゃって」
そう言って私の頭をそっと撫でた。
「あ、ううん!物心つく前に亡くなっているし、正直両親のこと覚えてないの。それに、おばあちゃんがいるから気にしなくて大丈夫だよ。」
JK「そっか。Aがこんなに良い子に育ったのも、おばあ様のお陰なんだね。」
「ありがとう...」
褒められるのが歯がゆかったが、とても嬉しかった。
ここで立ち話しても疲れてしまうので、どうせなら家に上がってもらおうと思った。
先程ヨンジュ姉さんから頂いた胡蝶蘭を手に取り、2階へ案内しようと手招きした。
JK「とても可愛い蘭だね。もらったの?」
「あ、そうなの。とても良くしてもらってるお花屋の姉さんから、誕生日祝いで」
JK「え…、もしかしてAの?」
「ふふ、恥ずかしいけどこの前誕生日がきまして、めでたく26歳になりました」
そう言うと、彼はうな垂れるようにしてしゃがみ込んだ。
「わわわ、ジョングクどうしたの?!気分悪いの?」
JK「は〜」
しゃがみこんだと思ったら大きなため息をついた彼は、前髪をくしゃりと搔き上げてこちらを見上げた。
JK「A…、Aの誕生日、俺にも祝わせて」
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ゆき(プロフ) - (名前)マコさん» 全作読んでいただきありがとうございます!これからもよろしくお願いますm(_ _)m (2019年9月15日 12時) (レス) id: 39e3cdebd3 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)マコ(プロフ) - ゆきさんの作品を全部読ませていただきました! とっても優しく幸せな世界に癒されて、私も優しい気持ちになれました^_^ ありがとうございます! これからも楽しみにしています! (2019年8月11日 22時) (レス) id: 1cef87080f (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - はるかさん» ありがとうございます!普段はグクちゃんと呼んでアミ活をしてるのですが、ここではかっこいいグクを理想に書いていきます! (2019年7月31日 19時) (レス) id: 4ece362860 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 猫わかめさん» ありがとうございます!かっこいいジョングクと愛される主人公をこれからも書いていきます。 (2019年7月31日 19時) (レス) id: 4ece362860 (このIDを非表示/違反報告)
はるか - とにかく主人公可愛いしグクもめっちゃカッコいい…次の更新楽しみにしてます。 (2019年7月31日 17時) (レス) id: 2c32449133 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2019年7月29日 3時