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ここに来る前に、代表には断りの電話を入れた。
代表からは自由に使っていいとは言われているけど、礼儀としてちゃんと連絡をするようにしていた。
ここは、俺たちがいつでも羽を伸ばせるようにと用意された所であり、なんでもこの一帯を代表のポケットマネーで買ったそうだ。
その分だけ期待されているのだと、俺たちはとても誇らしく思った。
一流のミュージシャンになるよう、アーミーの為に日々努力をしている傍ら、ここで過ごす時間は俺たちの疲れを癒してくれた。
しかし、代表がこの別荘を買った理由が実はもう一つある。
管理人のハンさんは、代表の親戚の叔母にあたり、昔からよく可愛がって貰ったという。
そんな叔母が5年ほど前に最愛の孫を亡くしてから、ずっと悲しんでいるのを見た代表はこの別荘の管理を依頼した。
少しでも叔母の悲しみが和らぐよう願いを込めて。
豊かな自然に囲まれたこの場所は、時間がゆっくりと流れるように徐々に叔母の心を癒していった。
無論、孫を失った悲しみが消えることは無いけど、ここに来たことで叔母に笑顔が戻ったという。
俺たちのことも、まるで自分の孫のように可愛がってくれた。
ハンさんは、ここにいることで「生きている」ことを実感できるという。
この場所は、皆にとってかけがえのないものになった。
JK「A、喜んでいてよかった…」
俺の、俺たちの大切な場所にAを連れてこれて嬉しく思う。
彼女も、ここが気に入ってくれたようで安心した。
ここだと、周囲に気を使うこともなくAとの時間を過ごすことができる。
互いの想いが通じあった今、彼女と過ごす時間は特別なものとなった。
少しでも彼女と一緒にいたい。
Aに対する想いが募るばかりで、俺はどうしようもなく彼女に夢中なんだと実感した。
「ジョングク、おまたせ!ハンさんから頂いたの…どうかな、似合うかな」
奥から出てきたAは、水色のワンピースを見にまとい髪を下ろしていた。
彼女はくるっと回り、俺の方を伺った。
JK「とてもよく似合っているよ、A。可愛い…」
初めて見るAの姿に、俺は心を打たれた。
彼女に似合う服を沢山贈りたいと思い、ツアーの度にワンピースをお土産に買ってこようと考えていると…
「これね、ハンさんがお孫さんに作ったものなの。」
そう言ってAは胸に手を当てた。
JK「おいで、A」
静かに祈るような姿に俺は愛しさを感じ、彼女の名前を呼んだ。
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ゆき(プロフ) - 共感していただいて嬉しく思います。私もトンイが大好きなので、ついつい話に織り込んでしまいました。コメント頂き、ありがとうございます(^^) (2018年8月6日 7時) (レス) id: 62b0c80745 (このIDを非表示/違反報告)
しずく より(プロフ) - 初コメ失礼します!トンイすっごい好きなんですけど、周りに好きな人がいないのでお話中に出てきてて勝手に喜んでます(((( (2018年8月6日 3時) (レス) id: 8a59c88b0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2018年6月27日 22時