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宿舎から事務所までは、そう遠くはなかった。
繁華街にあるわけでもないので、道は比較的空いているのだけれど、俺の焦り具合を見たマネージャーはため息をついた。
「ジョングク、気持ちはわかるが焦っても仕方ないだろう。彼女は大丈夫だよ。お前そんなんじゃ、この先やっていけないぞ」
人生の先輩が言うことだから、俺は素直に頷くもどうも気持ちは落ち着かない。
夜道に一人いることに対する不安なのか、それとも彼女に会える嬉しさからなのか。
俺は、着ていたパーカーのフードを被り息をついた。
早く彼女に会いたい。
会って、強く抱きしめたい。
小言はその後に言ってやるし、きっと彼女は困った表情をしながらもその小言を聞いてくれるだろう。
俺は、どうしようもなく彼女のことが好きなのだ。
もう一度、ちゃんと伝えたい。
そう思いながら窓の外に目をやると、見慣れた看板が見えてきた。
JK「…っ?!マネヒョン!車止めて!!」
事務所の少し手前にあるベンチに、人影が見えた。
俺は急いで車から降り、その人影の元へ駆け寄った。
JK「A!」
名前を呼ぶと、彼女はゆったりした動きでこちらを見た。
「ジョングク…」
5月初旬の夜風は、予想以上に冷たく俺は少し身震いがした。
Aの体が冷えていないか心配で、俺は着ていたパーカーを脱いで彼女に被せた。
「ありがとう。ジョングクのパーカー、あったかいね」
そう言って、柔く微笑む彼女に俺は怒る気も失くした。
JK「とりあえず、話は車の中で聞くよ。こんな寒いところで待たせてごめんね」
Aは立ち上がるとふらつき、倒れそうになった彼女を咄嗟に抱きとめた。
JK「Aっ!どこか具合がわるいんじゃ…」
彼女の体が熱いことに気づいた俺は、額に手を当てた。
JK「…っ、すごい熱だ。A、ごめんだけど今日は帰せないよ。」
力なく頷く彼女を抱き上げ、俺は車へ戻った。
そして、マネヒョンに頼みAをそのまま宿舎へ連れて行くこととした。
JK「もしもし、レンさん。Aと会えたんだけど、すごい熱で…。うん、俺のところが近いから、今日はこっちで休んでもらうよ。とりあえず、今晩様子を見て、熱が下がらなかったら病院に連れてくね」
レンは、Aが俺のところに泊まることに対してすんなりと承諾してくれた。
むしろ、よろしく頼むと言われたので、なんだか歯がゆかった。
俺の膝に横たわっているAの表情は苦しそうで、少しでも気が楽になればと手を握った。
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ゆき(プロフ) - 共感していただいて嬉しく思います。私もトンイが大好きなので、ついつい話に織り込んでしまいました。コメント頂き、ありがとうございます(^^) (2018年8月6日 7時) (レス) id: 62b0c80745 (このIDを非表示/違反報告)
しずく より(プロフ) - 初コメ失礼します!トンイすっごい好きなんですけど、周りに好きな人がいないのでお話中に出てきてて勝手に喜んでます(((( (2018年8月6日 3時) (レス) id: 8a59c88b0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2018年6月27日 22時