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レンと合流した後、電車を1回乗り継いで着いた先は、閑静な住宅街だった。

耳を澄ませば小川の流れる音が聞こえ、春の陽気がやさしく街を包んでいる感じがした。



「着いたぞ、A。ちょっと古めかしいけど、ここが俺の店だ。」

駅から歩いて10分ほどにあるそこは、古民家のようなカフェであった。
店の前には、ひらがなで『きさらぎ』と書かれた看板が置かれていた。

「わぁ…。意外と和風な感じなのね。」

「ははは。一応、ジャパニーズカフェってので売りに出してるからな。」

「お店の名前も素敵ね。きさらぎって、もしかして伯母さんの名前からとったの?」

きさらぎ、私に茶道を教えてくれた伯母の名前である。

「そうそう。この店は、母さんの贈り物なんだ。
だからか知らないけど、ここに来るお客さんは、みんな幸せそうなんだよな」

レンもまた、幸せそうにニカッと笑った。


「レン、呼んでくれてありがとう」

叔母さん、ありがとう。




「A、街をちょっと見に行ってみたら?オレは片付けがあるから行けないけど」

この先にある桜並木がとても綺麗だと言って、レンは店の奥に戻った。

まだ夕飯まで時間があるし、行ってみようかな。

「A待って、行くんだったらコレ着てってよ」

渡されたのは、小袖の着物だった。

「え、これってもしかして、伯母さんのものじゃないの?」

「いいんだよ。着てもらった方が母さんも嬉しいだろうし。それにA、あまり服持って着てないだろ?」

私の荷物の少なさを察したのか、レンは半ば呆れ顔で着物を渡した。

「ここで買おうかと思ってたのよ。でも、ありがとう!伯母さんの着物を着れるなんて、嬉しいよ」


そう言った私に、レンは満足そうに笑った後「転けるなよ」と一言残し戻っていった。

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作品ジャンル:恋愛
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ゆき(プロフ) - 共感していただいて嬉しく思います。私もトンイが大好きなので、ついつい話に織り込んでしまいました。コメント頂き、ありがとうございます(^^) (2018年8月6日 7時) (レス) id: 62b0c80745 (このIDを非表示/違反報告)
しずく より(プロフ) - 初コメ失礼します!トンイすっごい好きなんですけど、周りに好きな人がいないのでお話中に出てきてて勝手に喜んでます(((( (2018年8月6日 3時) (レス) id: 8a59c88b0c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆき | 作成日時:2018年6月27日 22時

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