甘くて甘い、【歌い手】【短編集】

女の子の日【sm】 ページ9

1ヶ月の内約1週間。

こんな痛み誰が作ったんだよなんて誰かに訴えかけることすら叶わない。


『い"った"ぃ"…』


私は俗に言う生理痛がかなり酷い方で小学生の頃は熱を出した程。


いまでも2、3日目は薬なしでは動けないし薬があってもかなりしんどい。


そんな中彼氏の志麻くんの家に遊びに行くことにしたのは間違いだったと今になって後悔している。


せっかく誘ってもらったし今から断るのも申し訳ない。今日は早めに帰ろうと決めた。


･


「A帰ろ〜」


帰りはいつも教室まで志麻くんが迎えに来てくれる。


こんな日でも志麻くんが来てくれるだけで気持ちが楽になる。


「今日クラスでな？」


なんて楽しげに話してくれる志麻くんの横顔を手を繋ぎながら見れるのは私だけの特権。


･


『おじゃまします』

「飲み物入れてくるから部屋行ってて。適当に座っててええから」

『うん、ありがとう』


彼のご両親は共働きで弟くんも部活で今日は帰りが遅いらしい。


要は2人きりということ。


志麻くんの部屋に入るとふわ、と彼のいい匂いがした。そのままローテーブルの傍に荷物を下ろし床に座る。


腹痛も和らいできた気がする。志麻くんのおかげかな、なんて。


床に座りながらベッドにもたれかかるとふっと睡魔が襲ってきてそのまま眠りについてしまった。

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