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翌日。
今から帰るよ、と連絡を入れて退社。
最寄り駅で降りたところでコツコツと革靴の音が目立つようになってきた。
くるりと振り返ると足音は止まる。
少し駆け足で帰路を急ぐ。
私が足を早めるとついてくる足も早くなる。
あと少し、あと少し。
マンションにもう着くといったところで私は後ろに手を引かれた。
『っ、……!?』
手を引いたのは会社の同僚で、つい数十分前まで隣で仕事をしていた。
『なんっ、…』
なんで、と抗議しようとしても口を手で塞がれ声を出せない。
思いもよらなかった犯人にどうすることもできなかった。
助けて志麻くん、心からそう叫んだ。
涙で視界が滲んできた頃ふっ、と口と手を抑えていた手が緩んだ。
振り返る前に背後から苦しそうな呻き声が聞こえた。
「俺のAに何手出してんねん殺.すぞ」
地面にぺたりと座り込んでいる同僚を見下ろしているのはずっと求めていた彼で、
今まで聞いたことないくらいドスの効いた声を発していた。
それに怖気付いたのかそそくさと帰っていく同僚…いやストーカー。
「…逃げかよ」
ぺっ、と吐き捨てるように彼は言うと私に着ていたパーカーをふわりと掛けしゃがみ込んだ。
「なんもされてない?大丈夫?」
『…うん、ありがとう』
感謝の気持ちも込めて彼に触れるだけのキスをするとびっくりしたように目を見開き、やがて嬉しそうに微笑んだ。
fin.
KOKESI(こけしくん)様リクエストありがとうございました◎
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shiori(プロフ) - リクエストでurtさんが女の子の日を看病するお話読みたいです!お願いします! (2021年1月1日 17時) (レス) id: a2f685055b (このIDを非表示/違反報告)
まみ(プロフ) - 舞花さん» ありがとうございます(;;) (2020年8月6日 23時) (レス) id: 30076484ac (このIDを非表示/違反報告)
izmin0215(プロフ) - 舞花さん» いえいえ!ありがとうございます! (2020年8月5日 7時) (レス) id: e7b9ca147f (このIDを非表示/違反報告)
舞花(プロフ) - Naoさん» 喜んで頂けたようでなによりです(;;)またいつでもリクエストお待ちしております、ありがとうございました! (2020年8月5日 1時) (レス) id: b66637afee (このIDを非表示/違反報告)
舞花(プロフ) - まみさん» リクエスト承りました◎書いたことの無い系統なのでご希望に沿ったものが作成できるか不安なのですが頑張りますね!励みになりますありがとうございます(;;) (2020年8月5日 1時) (レス) id: b66637afee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:舞花 | 作成日時:2020年7月26日 20時